2020 Fiscal Year Research-status Report
化学的アプローチによる死後経過時間推定の新たな指標の開発応用
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18K10117
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
神 繁樹 北海道大学, 医学研究院, 博士研究員 (60531845)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
的場 光太郎 北海道大学, 医学研究院, 講師 (00466450)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 死後変化 / HS-GC-FID |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の年度における計画では昨年度に引き続き様々な死後経過時間の死体の体液サンプル中で経過時間による量的変化を示す低分子化合物を探索し、多量の検体の分析を行いデータ収集することであった。量的変化のあった酪酸およびチオ硫酸塩についてはこれまでの期間で定量分析法の確立とデータ収集を行った。本年度はそれら2種の物質以外の低分子化合物について探索・同定と多量の検体における分析・測定を目指した。 死後経過時間による量的変化を示す化合物の探索においてはヘッドスペースサンプラーによるサンプリングで水素炎イオン化検出ガスクロマトグラフ(HS-GC-FID)を用いた体液サンプルの分析において、腐敗度の高い死体由来の検体中に数種の物質が高い濃度で検出された。化合物の探索で用いたガスクロマトグラフと同条件で検出を質量分析にした装置(GC-MS)によりそれら物質の解析を行ったところ、そのうち2つは芳香族アミンであることが確認された。また、エタノールやプロパノールなどの腐敗で生成するとされているアルコール類以外のアルコールも確認された。これら物質について多量の検体によるデータ収集を行い、そのデータ解析に期待が持たれたが、満足のいく検体の分析数に至っていない。これは昨年度末から拡大した新型コロナウィルス感染症(COVID-19)による研究活動の制限があったためである。 研究業績では本研究に関係する論文は1報、学会発表は3件であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度までは順調に研究は進んでいたが、昨年度末から発した新型感染症(COVID-19)により研究活動の制限や本業である死体検案や法医解剖業務の繁忙化が起こり当初目標に至らなかった。また、これまでの研究成果を発表する場も少なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに確認された腐敗度の高い検体で高濃度に検出される化合物について多くの症例について測定を行い、死後変化に関する解析を行う。最終的には当初の研究目的通りに死後時間経過推定について化学的な観点で指針・指標を提案することを目指す。
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Causes of Carryover |
昨年度末から発生した新型感染症(COVID-19)の全国的な広がりにより研究活動の制限のため予定通りの実験ができなかったため次年度への持ち越しが発生した。また研究成果を発表する予定であった学会等が中止になり、次年度での発表を予定しているため。
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