2018 Fiscal Year Research-status Report
看護の思考過程に基づいた学習者参画型SNS情報倫理教材の開発
Project/Area Number |
18K10173
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Research Institution | Shubun University |
Principal Investigator |
相撲 佐希子 修文大学, 看護学部, 講師 (10598999)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
春田 佳代 修文大学, 看護学部, 准教授 (60329828)
石井 成郎 一宮研伸大学, 看護学部, 准教授 (80399237)
鈴木 裕利 中部大学, 工学部, 教授 (20340200)
鈴村 初子 修文大学, 看護学部, 教授 (70241205)
諏訪 美栄子 修文大学, 看護学部, 助教 (00762816)
中村 美奈子 修文大学, 看護学部, 助手 (10785083)
森下 智美 修文大学, 看護学部, 助手 (80805383)
東山 新太郎 修文大学, 看護学部, 助手 (50805348)
村山 友加里 修文大学, 看護学部, 助手 (30785085)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 看護学生 / 情報倫理教育 / SNS / 個人情報保護 / 著作権 / 肖像権 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は看護の思考過程に基づいた学習者参画型SNS情報倫理教材の開発である。 2018年度は、継続しているデータ収集と分析を行うことから質問内容の精査を行なった。具体的には、看護学生のSNS活用の現状について継続調査を実施、看護学生のSNS活用の動向と指導方法の検討するための基礎的資料として学会発表と論文投稿を行なった。以下概要を述べる。 1.SNSの利用に対する「権利」の理解について看護学生2年生に質問紙調査を行なった。2016年の先行調査ではSNSに関連する権利の用語として「著作権・肖像権・個人情報」について「知っている・聞いたことがある」と回答した学生は全体の80%を占めていた。そこで、本年はSNSの事例を示し、その行為の正誤ならびに関連する権利を選択させた。その結果、書物など著作物に関する権利については正答率は高かったが、カメラなどを使う行為などの正答率が低かった。 2.SNSの利用における行動と認識について看護学生1年生に対してSNSの指導前と指導3ヶ月後に質問紙調査を行い相違を検討した。その結果、質問9項目中5項目は指導後にSNSの行動を見直すようになった。しかし、LIENを使って、講義資料の写真をアップして流すことや、Twitterで心境をつぶやくことは指導後も実施すると回答し、危機感も低いことが明らかになった。 3.繰り返しSNS指導を受けてきた看護学生が、基礎看護学臨地実習Ⅱにおいて個人情報保護の関する責任を課せられた状況を体験することがSNS行動にどのような変容をもたらすのか実習前後を比較することによって明らかにした。対象と時期は3年生、4月に実施した。その結果プライバシーと著作権については正しい認識に変容していた。一方、投稿してもすぐ削除すればよいなどと誤った認識が高まっていることも明らかとなった。日々更新される機能の変化に対応した指導方法が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は、看護学生のSNS活用の現状を多面的に明らかにし、今後の調査内容の精選をすることを実践した。これまでにも看護学生のSNSに関する調査を行なってきたため、それらのデータを学年毎に分析することで加速的に発展し続けているSNSと学生の動向から、質問紙内容の検討と対象者の焦点を絞ることが出来た。また2018年度の調査から、カメラ機能に関連する投稿などの権利が理解できていないこと、それに伴う認識や行動に問題が生じているため、これらの現状をより理解することを早急に行う必要性が明らかとなった。さらに、つぶやきなど、投稿に関することを安易に捉えているなど、危機感の低さが明らかとなった。権利については、「知っている」と捉えている学生は多い。しかし、知っていると回答している権利に違反している行動を行っていることが明らかになった。その理由として指導を受けることによって耳にする機会が多いことから意味は知らなくても聞いたことはあるため、それを「知っている」と捉えている可能性もあるため、今後の調査として深めていく必要がある。また、看護学生は臨地実習によって学生の立場でありながら職員と同等の位置づけで権利を遵守することを学ぶ。さらに受け持ち患者に対する責任をもつことを経験する。これらの責任とsnsの行動との関連についても調査し、投稿について、すぐに削除すれば大丈夫と誤った認識をもつようになっていた。これらの理由としては、新たに投稿後に削除できる機能が出来たためと推察する。このようにsnsに関する新たな機能を十分に理解することなく使用する現状から、どんどん新しくなる内容に伴う指導方法や教材を検討していく必要がある。 以上から、今年度は研究の目的である教材の内容の焦点を絞ることが出来たためおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は以下の内容を実施する予定である。 今年度で明らかとなった内容として・カメラ機能に関連する行動について、・権利と行動との関連について、・実習によりsnsに関連した行動の変化については、さらに内容を絞った調査票を作成する。また、調査人数の拡大を図ることで学生のsns活用の現状と問題点についてできるだけ一般的な内容として捉えることを行ないたい。そのために近隣地域の大学等への協力を依頼して、看護学生を対象に調査を行う。 さらに、看護教員には学生のSNSに関する問題等についてご意見を頂くためにWebによる記述式のアンケートを取る予定にしている。 同時にsnsに関連した新たな機能についての洗い出しも積極的に行う予定である。そのためには、情報工学系への学会や国際学会への参加も予定したいと考えている。 さらに、これまでの研究成果については、学会への投稿を行なっていく予定でデータをまとめている最中である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として、今年度はアンケート内容の精選やプレテストを繰り返しながら内容を検討することとなったためである。そのため、調査対象者が身近な学生であったことから郵送代や印刷代金などの費用が当初予定した金額ほど必要ではなかったためである。また加えて、論文投稿も学内での紀要のみであったため投稿料金等が発生しなかったことも理由である。 2019年度の計画は、今年度精選したアンケートを学外の学生に実践する。また、学生へのグループインタビュー等や国内学会、国際学会等への参加なども予定している。そのため、グループインタビュー参加者への謝礼金や会議費、国際学会参加費や交通費、翻訳料が必要となるため使用する予定である。また、紀要以外の学術誌への投稿料としても使用する予定である。
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