2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K10196
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
前山 さやか 横浜市立大学, 医学部, 助教 (10725295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 理恵 横浜市立大学, 医学部, 助教 (10805782)
佐藤 政枝 横浜市立大学, 医学部, 教授 (30363914)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アクティブラーニング / 協同学習 / 学習評価 / 看護基礎教育 / ノンテクニカルスキル |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、看護基礎教育と現任教育をつなぐ教育プログラムの開発に先立ち、看護基礎教育におけるアクティブラーニングの学習効果に関する研究に取り組んだ。研究の概要を以下に示す。 本研究は、LTD(Learning Through Discussion)話し合い学習法を導入した授業(LTD授業)と通常授業における学生の反応を比較することにより、協同学習を通したディープ・アクティブラーニングの効果を評価することを目的とした。A看護系大学1年次前期の開講科目「看護学概論」にて、学生が回答したLTDカード(事前・事後)と授業コメントカードを分析した。全15コマのうち、LTDが導入されたのは4コマであり、学生は4つの課題文献(ケアすることの本質と魅力、プロフェッショナリズム、看護研究論文、多職種連携・チーム医療と看護に関する課題)の事前学習に取り組んだ後に、授業にてLTDに参加した。LTDカードは、「まったく認めない(0)」~「とても認める(100)」の11段階で評価し、授業コメントカードは、授業後に「まったく(できなかった)(1)」~「とても(できた)(5)」の5件法で回答を得た。分析は、記述統計ならびにLTD授業と通常授業の比較を行った。LTD前後の比較では、「興味・関心」で80点以上の割合は、全ての回で4~11ポイント増加した。通常授業とLTDを実施した授業の比較では、「興味・関心」「授業内容の理解」ともに、『看護の仕事』と『プロフェッショナリズム』の授業において、LTDを実施した授業で有意に高かった。 LTDを実施した『看護の仕事』と『プロフェッショナリズム』の授業では、学生の課題文献に対する興味・関心と授業内容の理解の高まりが認められた。LTDを導入した各回において、LTD話し合い学習法に対する高い満足度が得られ、ディープアクティブラーニングの効果が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、看護実践において必要となるノンテクニカルスキル(状況認識、意思決定、コミュニケーション、チームワーク、自己管理)を育む教育プログラムの開発を目指し、2018年~2021年度の4年間で、新卒から卒後3年目までの縦断研究により、看護師の「ノンテクニカルスキル」について、その構成要素を明らかにすることを目的とした。研究を進める過程で、看護基礎教育における「ノンテクニカルスキル」の位置づけが曖昧であることが明らかとなり、学生を含めた議論が必要となった。よって、先ず看護学生のノンテクニカルスキルを育む新たな教育手法の開発に関する研究に取り組むこととした。また、初年度(2018年度)に着手したノンテクニカルスキルに関する文献レビューの結果を踏まえ、海外文献のレビューによる「看護におけるノンテクニカルスキル」について、概念分析を進める必要があるが、その分析に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、看護基礎教育における、看護学生のノンテクニカルスキルを育む教育手法の開発に取り組み、最終的に、新卒看護師を対象にノンテクニカルスキルに関する調査を実施することで、看護基礎教育と現任教育をつなぐ教育プログラムの開発を目指す。2020年度以降の計画を、以下に示す。 【2020年度】①「ノンテクニカルスキル」の概念分析:国外文献をレビューをとおして、概念を抽出する。さらに、抽出された概念について、理論との関係性を検討する。②看護学生を対象とした「ノンテクニカルスキル」を育む教育プログラムの開発:概念分析に基づいて、ノンテクニカルスキルの要素を取り入れた教育を導入し、教育の効果を評価していく。 【2021年度】看護基礎教育と現任教育をつなぐ教育プログラムの開発に着手する。
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Causes of Carryover |
2019年度は、人件費・謝金において支払いが生じなかったため、当該年度所得との間に差が生じた。2020年度は、教育プログラムの開発を進める上で、研究協力者への十分な謝金を確保する必要がある。予定されている物品費や旅費等の支出に加え、人件費や謝金についても計画的に執行していく。
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