2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K10196
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
前山 さやか 横浜市立大学, 医学部, 助教 (10725295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小原 理恵 横浜市立大学, 医学部, 助教 (10805782) [Withdrawn]
佐藤 政枝 横浜市立大学, 医学部, 教授 (30363914)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ディープ・アクティブラーニング / 協同学習 / 看護基礎教育 / ノンテクニカルスキル |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、前年度の看護基礎教育におけるアクティブラーニングの学習効果に関する研究を踏まえ、学生の学習に関する意識調査を実施した。研究の概要を以下に示す。 本研究は、A看護系大学の1年次前期開講科目である看護学概論の履修前後の調査を通して、学生の学習に関する認識の変化を捉えることを目的とした。1年次生104名を対象とし、科目の開講前後に「学習に関する認識」を質問紙にて調査した。全15コマのうち6コマで協同学習の手法であるLTD(Learning Through Discussion)話し合い学習法(安永,2006)を導入した。調査内容は、①学習満足度(5項目)、②学習動機尺度(23項目)、③認知的能動尺度(9項目)、④予習に関する学習有効性尺度(18項目)、⑤学習方略(12項目)、⑥協同作業認識尺度(18項目)であり、いずれも「全く当てはまらない(1)」~「非常によく当てはまる(5)」の5件法で回答を得た。分析は記述統計を行い、前後比較にはWilcoxonの符号付順位和検定を用いた。 履修前後の得点(mean±SD)では、学習満足度は「看護を広い視野から多角的にみる(前:2.8±0.9,後:3.8±0.7)」「看護について自分なりの考えを言語化できる(前:2.7±1.0,後:3.8±0.6)」で上昇した。学習動機尺度では、「交友志向」「経験関与的課題志向」「職業・専門性志向」の3因子で、予習に関する学習有効性尺度では「考えをまとめる力の獲得(前:3.3±1.0,後:4.2±0.8)」の他すべての因子で、学習方略、協同認識尺度の「協同効用因子(前:33.3±4.0,後:35.8±3.5)」で高くなった(p<.01,p<.05)。学生の学習に関する認識は、科目の履修前後で、満足、動機、予習や学習方略、さらに協同作業において高まる傾向が認められ、入学直後の看護専門科目にて、LTDを活用した能動的学習を経験することの有効性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、看護実践で必要とされるノンテクニカルスキル(状況認識、意思決定、コミュニケーション、チームワーク、自己管理)を育む教育プログラムの開発を目指し、2018年~2021年度の4年間で、新卒から卒後3年目までの経過を経時的に追うことにより、看護師がどのようにしてノンテクニカルスキルを獲得していくのか、その構成要素を明らかにすることを目的とした。2018年度のノンテクニカルスキルに関する文献レビューでは、ノンテクニカルスキルの概念の明確化が必須であること、また、看護基礎教育における学生のノンテクニカルスキルを育む教育の必要性が示唆された。研究に着手するにあたり、2019年度は、看護学生を対象に学部教育におけるアクティブラーニングの学習効果に関する研究に取り組んだ。その結果、協同学習の手法であるLTD話し合い学習法は、学生の高い満足度が得られ、ディープアクティブラーニングによる学習効果が示唆された。2020年度も引き続き、学生の学習に関する研究で分析を進めているが、研究において必要なステップであり、その分析に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、看護基礎教育における学生のノンテクニカルスキルを育む教育手法の開発に取り組み、最終的には看護師に必要とされるノンテクニカルスキルの構成概念を構築する。2021年度は、看護基礎教育でのアクティブラーニングによる学習効果や学生の学習に対する意識調査に関する分析を継続し、学生に必要とされるノンテクニカルスキルの要素を抽出したうえで、新たな教育手法を提案する。
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Causes of Carryover |
2020年度は、新型コロナウィルス(COVID-19)の影響で、学術集会がオンライン開催となり、学会参加に係る旅費で支払いが生じなかったため、当該年度所得との間に差が生じた。次年度は、予定されている物品費や旅費等の支出について計画的に執行していく。
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Research Products
(1 results)