2018 Fiscal Year Research-status Report

遠隔看護の実践能力育成に向けた研修プログラムの開発と評価

Research Project

Project/Area Number	18K10211
Research Institution	Tokyo University of Information Sciences
Principal Investigator	豊増佳子東京情報大学, 看護学部, 講師 (60276657)
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha)	川口孝泰東京情報大学, 看護学部, 教授 (40214613) 大石朋子 (大塚朋子) 東京情報大学, 看護学部, 講師 (40413257) 今井哲郎長崎大学, 工学研究科, 助教 (10436173) 伊藤嘉章東京情報大学, 看護学部, 助教 (60804870)
Project Period (FY)	2018-04-01 – 2021-03-31
Keywords	遠隔看護 / 看護教育 / 研修プログラム
Outline of Annual Research Achievements	地域包括ケアシステムの実現に向けては、新しい視点での医療や看護の提供システム構築が求められている。その中でも、離れた場所にいる対象者や継続的なケアが必要な患者に、情報通信の知識・技術を活用して実践する遠隔看護(telenursing)の必要性がより高まっている。そこで、本研究では、医療においての情報活用に求められる能力を明らかにするとともに、次世代を見据えた看護基礎教育および一般看護師が今後身につけておくべき遠隔看護の知識・技術を学修するために必要な教育・研修プログラムの開発・評価を目的として取り組んでいる。本研究では、この研究目的達成のために、最終年度までにA・Bの2段階で研究計画を立案している。初年度である平成30年度においては、研究計画Aである「遠隔看護を実践するうえで学習すべき能力と、研修プログラムに含むべき内容の検討と優先順位の選定」に取り組んだ。研修プログラムに含むべき教育項目や内容の収集を行った結果、発表された研究はまだ少なかったが、「Telehealthに関わる看護活動に必要な能力」に関する研究があった。これは、遠隔看護の実践家への調査を基にしたもので、遠隔看護の実践者に求められる能力を明らかにしていた。この研究結果は、遠隔看護実践者に将来なる可能性のある看護師の看護基礎教育、そして、生涯教育や専門教育も含めた段階的な教育デザイン構築に向けた遠隔看護に必要な能力の基準として今後活用していく。初年度の成果は、本研究の最終目的である研修プログラムの開発・評価に向けての教育項目・内容を選定するための情報基盤として、最終成果に向けた研究計画Bの「遠隔看護の実用化に向けた研修プログラムの構築と評価」に向けて研究を進めていく。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned. Reason 初年度である平成30年度においては、研究計画の最初の段階である「遠隔看護を実践するうえで学習すべき能力と、研修プログラムに含むべき内容の検討と優先順位の選定」に取り組んだ。本研究で最終目標とする研修プログラムの開発には、その研修プログラムの構成要素や内容をまず選定する必要がある。よって、その基盤となる情報収集として、国内外における遠隔看護や教育研究の現状や動向調査を行った。その結果、発表された研究はまだ少なかったが、「Telehealthに関わる看護活動に必要な能力」を明らかにした研究があった。これは、遠隔看護の実践家への調査から遠隔看護の実践者に求められる能力を明らかにしており、遠隔看護の実践者に将来なる可能性のある看護師の看護基礎教育、そして、生涯教育や専門教育も含めた段階的な教育デザイン構築に向けた遠隔看護に必要な能力の基準として今後活用できると分析した。よって、当初の計画通り、教育項目・内容について優先順位選定のための情報収集が達成でき、来年度に向けての準備を整えることができたため、おおむね順調に進展していると評価した。今後、遠隔看護の研修プログラム構築に向けて初年度の成果を踏まえて研究を進めていく。
Strategy for Future Research Activity	令和元年度は、研修プログラムに含むべき教育内容の優先順位の決定と、優先する教育項目・内容の教育方法の検討を行う。その推進方策として、ICTを活用した遠隔看護を具現化する技能を習得するための学習内容の優先度の決定について、初年度に情報収集および分析した結果を活用する。さらに、収集した学習内容・項目が重複・分散等しているときは、学修すべき知識や技術に関する教育内容についての再整理やカテゴライズを行う。そのうえで、教育方法の構築にむけた教育内容の優先順位の選定・決定を行う。特に、本研究の段階的な実行プロセスである、a)遠隔看護の知識と実践技術を教育する要素や事象の抽出と選定、b)教育方法の検討と選定および教材作り、c)提案する教育方法の評価(実証実験と評価)について、次の段階を常に見据えながら実行していくことが重要である。遠隔看護の実践能力育成のための教材づくりを推進するためには、どのような遠隔看護のシステムを使って看護ケアを実践するのかの決定が要となる。適当な技術・道具が現存しない場合には、各種デバイスの組み合わせや、遠隔看護システムそのものの開発も必要になる。そして、最終的には開発した研修プログラムの評価対象者が必要になるため、その選定やリクルートも視野に入れながら研究計画を先取りしながら実行していく。教育項目・内容の優先順位決定の際には、国内外の実態や背景を検討する必要があることも示唆されたため、併せて検討していく。そのため、国内外の先駆的研究者との共同も模索しながら、研究を進める予定である。
Causes of Carryover	研究初期においては、研究者自身によるデータ収集や分析作業を行う部分が多かったため人件費を支出しなかったが、研究の進捗と共に依頼作業や開発業務も発生するため、今後支出予定である。また、研修プログラム開発およびシミュレーション実施時に使用予定の機器類については、ICT機器の急激な発展により早期購入することで年々早々に陳腐化することも想定されたため、購入時期を多少遅らせているが、今後支出予定である。