2023 Fiscal Year Annual Research Report
Educational program that promotes the passing on of expert nurses' practical wisdom
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18K10229
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Research Institution | Shukutoku University |
Principal Investigator |
長坂 育代 淑徳大学, 看護栄養学部, 准教授 (50346160)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増島 麻里子 千葉大学, 大学院看護学研究科, 教授 (40323414)
眞嶋 朋子 千葉大学, 大学院看護学研究科, 教授 (50241112)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 実践知 / 伝承と創発 / がん看護 / 教育プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、がん看護の領域におけるエキスパートナースの実践知の伝承と創発を促す教育プログラムを開発し、その有用性を検討することである。当初の計画では、開発した教育プログラムの適用対象と臨床の看護師としていたが、2020年度以降、COVID-19の影響を受け、病院施設での研究実施が困難となり計画変更を迫られた。そこで2022年度に教育プログラムの適用対象を看護学生に変更し、看護学生のレディネスに合わせてプログラムの再検討を行った。また、教育プログラムの内容に反映させるために、がん看護の領域におけるエキスパートナース15名のインタビューデータの再分析を行った。 2023年度は、エキスパートナースの実践知の伝承を促す教育プログラムを看護学生に適用し、評価を行った。本プログラムは、がん看護領域の専門資格を有する看護師の患者との関わりにおける回顧的思考発話を活用し、臨地実習前後に行う2回のワークショップで構成した。看護学生16名にプログラムを適用し、事前事後アンケートをもとに評価を行った。その結果、研究参加者の9割が各ワークショップの内容に興味をもち理解できたと回答し、臨地実習前のワークショップでは、実施前よりも実施直後のSTAI状態不安得点が有意に低かった(p <.01)。プログラムを通して、研究参加者には、患者との関わりにおいて“患者から醸し出される空気感を捉える”や“患者に流れる時間や空間を大切にする”など、看護実践の背景にある看護師の思考や看護観が伝承されていた。加えて、研究参加者は、臨地実習での患者との関わりの経験を言語化し共有するなかで、自身の看護実践に対する思考を深めていた。これより、看護学生の臨地実習に対する不安を軽減し、看護実践に対する思考を醸成する場としての本プログラムの有用性と看護基礎教育への適用可能性が示された。
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