2018 Fiscal Year Research-status Report
量的看護研究における統計的検定の検出力に関する研究
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18K10238
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
猫田 泰敏 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 教授 (30180699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篁 宗一 静岡県立大学, 看護学部, 教授 (60362878)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 統計的検定 / 検出力 / 看護研究 / 量的研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国の看護の量的研究においては、推測統計的な手段として、統計的検定が使用されている。検定では、帰無仮説が正しいときに、これを誤って棄却し、誤った対立仮説を採択する「第1種の誤りを犯す確率(α)」についての必要性は広く認識されている。これに対して、帰無仮説が誤っており、対立仮説が正しいときに誤って対立仮説を棄却する「第2種の誤りを犯す確率(β)」に関して、1-βで表される検定力について言及される論文はほとんど見あたらない。 本年度は、検出力に関する数理統計的基礎について広く知見を収集するとともに、使用するソフトウェアについて検討することを海外調査研究や先行文献の検討等により実施した。 統計的検定の検出力に関連する知見としては、研究計画段階でのサンプルサイズの設計の多くに活用され、その際の効果量の見積もりとしては、殆どにおいて検定の種類ごとに提案されているcohenの基準が採用されていた。また、以前のヴァージョンに比較して、より多くの検定方法における対応した商用のソフトウェア(nQuery、PASS等)が販売されていることは大きな収穫であった。また、無償のものとしてG*POWERが広く認知されており、最近、ユーザーが拡充しているR(無償)によるプログラムも相当程度の機能が備わっていた。現在、申請者が活用するSASおよびJMPにおいても、一定程度の関連機能が充実していることがわかった。商用のプログラムにおいては、インターネットによるトレーニングが提供されていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究目的をほぼ満たしている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究対象として選択する看護系論文を、原則として最近の5年間の研究論文から選択する。そして、母集団における効果量は、Cohenの先行研究に準拠し、検定の種類ごとに小・中・大の3段階に設定する。なお、検定の有意水準は5%とし、両側検定と片側検定の区別が必要なt検定と相関係数の検定は全て両側検定とする。さらに、自由度は論文中に記載されたものを用い、記載のないものや明らかに誤用と判断されるものについては、研究のデザインからもっとも合理的と判断される自由度を用いる。そして、標本の大きさは、検定で実際に用いられたと考えられる欠損値のあるものを除いた標本数を使用する。ここで、1編の論文中に通常は複数の検定が行われているため、1編の論文に含まれるすべての検定に対する検定力を小・中・大の3つの母集団効果量別に平均し、求めた平均値をその論文における検定力とする予定である。 以上の手順により、対象となる全ての検定について,小・中・大の各効果量のもとでの検定力を算出する。なお、標本効果量としては、一般的な計算方法に従うこととする。さらに、研究実施後に判明する「標本における効果量」についても検討に含める。 加えて、研究方法(RCT、コホート研究、横断研究等)の違いによる検定力の相違についても分析を試みることとする。 これら以外については、分析論文における使用頻度を元に追加することとする。そして、検定力および標本効果量を求めるために必要な以下の情報を抽出する。 ①検定力:(a)用いられている検定の種類、(b)標本の大きさ、(c)自由度、②標本効果量:①の(a)~(c)に加えて(d)検定統計量の値を求める。これらの値に基づき、検定力を求める。
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Causes of Carryover |
海外調査研究のための航空費が予算を下回ったことと、検定縮分析のためのソフトウェアの金額が予定を下回ったため。
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