2018 Fiscal Year Research-status Report
遺伝的リスクがある乳がん女性のセルフ・トランセンデンスを促進する支援モデルの構築
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18K10273
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
青木 早苗 関西医科大学, 看護学部, 准教授 (40516168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 佐和 高知県立大学, 看護学部, 教授 (80199322)
杉本 健樹 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 准教授 (80216332)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 遺伝的リスク / 乳がん / セルフ・トランセンデンス |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はまず,Rodgersの概念分析の手法を参考に「セルフ・トランセンデンス」の概念を明確にし,がん看護実践や研究に有用な概念であるかを検討した.概念分析の結果,「セルフ・トランセンデンス」の属性は,【内的境界の拡張】,【外的境界の拡張】,【相互作用】,【新たな見地】,【時間の統合】であった.また,先行要件は,【脆弱性】,【日常的な生活の中で起こること】,帰結は,【Well-being】,【QOLの改善】,【生きる意味や目的の高まり】,【癒される感覚】,【個人的な変化】が抽出された.セルフ・トランセンデンスは,日常の生活の中でも起こり得るが,人が生命を脅かす体験や人生を変えるような出来事に直面したときに,自身や環境との相互作用の中で,内的・外的境界を拡張しながら今を生きる意味や新たな見地を見出していく能力である.海外では,進行がん,エンド・オブ・ライフにおける対象者だけでなく,がんと診断された対象など,幅広い対象に少しずつ研究が進んでいる.しかし,日本のがん看護領域での研究は皆無であり,概念自体が浸透していない現状にある.セルフ・トランセンデンスはwell-beingに不可欠であることが明らかにされており,がん看護実践・研究において有用な概念であることが示唆された. また,遺伝的リスクがある乳がん女性のセルフ・トランセンデンスを解明するために,遺伝的リスクが高い乳がん女性を対象に,半構成インタビューガイドに基づく面接調査法を実施した.データは,グラウンデッド・セオリー・アプローチ(grounded theory approach)を用いて分析しながら,現在までに22名の対象者のデータを分析中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は①遺伝的リスクがある乳がん女性のセルフ・トランセンデンスの文献検討・概念分析,②遺伝的リスクがある乳がん女性のセルフ・トランセンデンスの解明を行う予定であった.①については分析が終了し,雑誌投稿を行った.また,②については,データ収集を行い,分析を研究者間で進めている段階であり,概ね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
まずは,遺伝的リスクがある乳がん女性のセルフ・トランセンデンスを解明するために,データ分析・論文作成を行っていく.また,その結果をもとに遺伝的リスクがある乳がん女性のセルフ・トランセンデンスを促進する支援モデル(案)の作成,介入を行っていく予定である.支援モデルの作成にあたっては,遺伝学検査の変異の有無によってその後の体験も変わってくることが現在の分析結果によって予想されるため,対象に合わせて支援ができるモデルを作成する.
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Causes of Carryover |
データのテープ起こし等依頼予定であったが,分析時に研究者がその場の臨場感を含めデータを起こしていくことが分析時に必要であると判断したため,他者に依頼しなかった.次年度以降は,学会発表,研究者間での打ち合わせが密に必要であるため,合わせて使用することとする.
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Research Products
(1 results)