2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K10280
|
Research Institution | Gunma Prefectural College of Health Sciences |
Principal Investigator |
龍野 浩寿 群馬県立県民健康科学大学, 看護学部, 准教授 (50775161)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 英子 国際医療福祉大学, 医療福祉学研究科, 教授 (20299879)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 精神障害者 / 地域生活 / 再入院 / 生活機能 / 質問紙調査 / 縦断研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、地域で暮らす精神障害をもつ人の再入院の影響要因を明らかにすることである。初年度は研究実施計画どおり研究を概ね実施できている。 具体的には、群馬県内の就労継続支援施設B型事業所117箇所に全件電話で連絡をして、調査概要を説明し、精神に障害をもつ利用者のいる施設を特定した(67施設)。その上で研究に協力の意志を示した施設へ具体的な研究手順および倫理的な配慮などの説明に出向いた。当事者研究となるため、施設側が難色を示す利用者や施設通所間もない方、計画書どおりGAFスコア60点以上の利用者を対象とした。質問紙調査表を用いたベースライン調査は順調に進んでいる。しかし、調査に当たっては、施設のミーティングなどに直接出向き、調査対象者に口頭でも説明した上で調査用紙配布を希望する施設が多かったため、時間を要している。さらに主任研究者の所属大学変更により、今後も静岡から群馬への移動を伴うベースライン調査を継続する必要がある。 今後、1年後のコホート追跡調査はアウトカムである1年間での再入院の有無の確認であるため、職員への聞き取り調査を行う予定である。この件は、計画で述べているとおり、ベースライン調査時に対象者へ説明をしており、同意の上、調査を進めている。 これらの調査を行うにあたり、最近の精神障害者の地域での動向を知るために、精神看護学を中心とした国内学会に複数参加し、知識を得た。また、研修会にも参加し、今後の地域包括ケアシステムとこの精神障害者の再入院の予防という切り口についても知見を得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り進んでいる ただし、当初より丁寧な説明を直接対象者へ求める施設が多く、群馬県内の広域に訪問先が広がっているため、移動時間や説明時間に多くの時間を割くこととなった。 また、主任研究者の大学所属変更(平成31年4月~)のため、今後は静岡から群馬へ移動して調査を継続する必要がある。 しかし、概ね対象施設の絞込みや調査活動量の把握がすすみ、今年度にベースライン調査は完了する見込みである。調査用紙の回収にあわせ、質問紙調査の入力作業は業者に委託する予定なので、問題はない。ゆえに概ね順調に推移していると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画書どおり、最終的には1年後のコホート追跡調査を行い、縦断研究を完了する予定である。そのためには、今年度ベースライン調査の完了と結果の集計および解析、およびコホート追跡準備をプロトコールに則り、進めていく所存である。 今回の研究は国内で初めて地域で暮らす精神障害者の入院への影響要因を明らかにする縦断研究を用いた実証研究であり、これにより利用者の再入院の影響要因が明らかになる。その主な説明変数(独立変数)として、ICFに準拠した生活機能尺度を用いており、これまでわかっている交絡因子の可能性のある因子と合わせて調査を行っている。よって多変量解析(ロジスティックおよびコックスハザード比例分析の解析を予定)によって、再入院に影響を与える因子を明らかにできると考えている。この再入院有無というアウトカムは地域定着と裏返しの関係であり、ここで再入院を阻害する因子を明らかにできれば、今後の介入研究(施設で保健活動、地域生活定着プログラム)で保健指導の柱立てを明らかにすることとなる。今後はこの介入プログラム実施に向けた研究につながる見通しを立てていくことを考えている。
|
Causes of Carryover |
物品費は概ね、概算どおり執行できたが、旅費とその他について訪問予定先等を多めに想定して積算したが、結果として執行状況は予算のそれを下回った。研究が若干遅れていたということもあり、また旅費の群馬県内の移動は概ね自家用車であったことも起因している。最終年度の報告書作成までで当初の予算どおりの執行になる見込みに変わりはない。
|