2019 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病とがんのmultimorbidity患者のニーズと外来看護支援モデルの構築
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18K10330
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Research Institution | The Japanese Red Cross Toyota College of Nursing |
Principal Investigator |
石黒 千映子 日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, 准教授 (80315895)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生田 美智子 椙山女学園大学, 看護学部, 准教授 (40335047)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 慢性病看護学 / multimorbidity / 外来看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病患者ががんを罹患するリスクだけでなく、がん患者が糖尿病に罹患するリスクも指摘されている。くわえて、糖尿病とがんが併存していると積極的な治療が選択しづらい、血糖コントロールが良好ではないがん患者の生存率が低い、などといった指摘もある。高齢者人口の増加や医療の高度化などを鑑みると、糖尿病とがん、両方の治療を行い在宅で生活する患者は増加の一途をたどると推測される。そこで、本研究の目的は、糖尿病とがんを併せ持ち、在宅で療養生活を営みながら両疾患の治療を継続して行っている患者および家族が体験している困難とその対処、外来看護師に対するニーズを明らかにし、外来における看護支援のありかたについて見出すことである。2019年度の計画は、平成30年度に引き続いて先行研究を収集し分析するとともに、(1)先駆的な取り組みをしている施設での取り組みについてリサーチする、(2)協力者(特定分野の専門性を有する看護師)に対するヒアリングを踏まえて調査内容および分析方法を決定し、予備調査を実施するための準備を整える、(3)本調査に向けた準備と協力を依頼する施設を選出する、ことであった。わが国における糖尿病とがんを併存する患者を対象とした研究は少なく、海外で公表された論文もリサーチしながら、(1)について、関連する学会の学術集会などを活用してリサーチを行っている。(2)および(3)について、協力者(特定分野の専門性を有する看護師)と協力施設の選定を行い、調査内容および分析方法の検討、研究者の所属する大学や協力施設の研究倫理審査を受審するための準備など、調査の実施に向けた準備を進めている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究代表者と研究分担者の所属する大学の双方で欠員が生じており、かつ、通常業務の遂行が困難になった者の業務も兼任するような状況であったことから、研究を計画通りに進めることが困難な状況であった。 しかし、上述のような状況下でも調査の実施に向けた準備は続けており、予備調査を2019年度末~2020年度初めに開始する予定であったが、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の流行により実施が困難な状況になった。 今後は、流行の収束を待ちながら、協力者および協力施設の状況を踏まえて研究計画を見直したうえで、予備調査を実施する予定である。さらに、流行収束後の協力施設の状況によるが、2020年度末~2021年度初めに本調査を実施したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
がんは診断自体が血糖降下薬の服薬に関するアドヒアランスを低下させるだけでなく、がん化学療法が糖尿病の自己管理およびそれに対する自己効力感を低下させうることが指摘されている。また、医療者側からの一方的な血糖コントロールの緩和は、「医療者から見捨てられた」という思いにつながりかねないという指摘もある。がん治療中・後の患者が糖尿病とがんの治療の両方に意欲を持つ可能性があるという報告があるが、患者がどのように療法の治療や養生法を管理しているのか、外来看護師がどのように支援しているのか、についてはわからないことが多い。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)流行の収束後、まずは看護師が糖尿病とがんを併せ持つ患者に対して行っている看護および抱いている困難について調査を行う。次に、糖尿病とがんを併せ持ち、両方の治療を受けている患者が療養生活を営むうえで行っている工夫や対処、抱えている困難などについても調査する。流行終息後の協力施設の状況や体制を踏まえつつ、これらの結果を踏まえて本調査を行うための準備を進め、2020年度末~2021年度初めには本調査に着手できるようにしたいと考えている。
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Causes of Carryover |
先駆的な取り組みをしている施設でのリサーチや協力者(特定分野の専門性を有する看護師)に対するヒアリング、および学会での研究テーマに関する情報収集を行ったが、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の流行による移動の制限があり、ヒアリングを行う範囲を広げることが困難であったため、旅費および人件費・謝金の執行が少なくなった。また、調査などに使用する物品等の購入費も執行しなかったことが、次年度使用額が生じた理由である。2020年度は、施設へのリサーチやヒアリングの範囲を広げる予定であり、かつ、予備調査も実施することから、そのための旅費および協力者への謝金、物品等の購入費として執行する予定である。
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