2019 Fiscal Year Research-status Report
生命を脅かす疾患に直面した患者のSDMを支える多職種協働意思決定支援モデルの構築
Project/Area Number |
18K10331
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
稲垣 範子 摂南大学, 看護学部, 助教 (90782714)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 看護師参画 / Shared decision-making / 重症心不全 / Inter-professional work |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、生命を脅かす疾患に直面した患者のShared decision-making(以下、SDM)を支える多職種協働意思決定支援モデルを構築することである。2018年度に実施した文献レビューの結果から、①生命を脅かす疾患に直面する患者のなかでも、選択肢が複雑な重症心不全患者に焦点を当てる、②多職種協働意思決定支援モデルを構築するうえで、まずは看護師のSDM参画モデルを作成する、の2点をもとに3段階の研究を計画した。 2019年度は、第1段階の調査として、重症心不全患者の治療選択におけるSDMへの看護師参画の実態について明らかにすることを目的に質的調査を実施した。研究対象者は、重症心不全患者の意思決定支援への取り組みが報告されている急性・重症患者看護専門看護師(以下、CCNS)とし、重症心不全患者の意思決定支援の実績がある10名をリクルートした。個別に半構成的面接調査を実施し、10名の結果を総合して質的統合法(KJ法)にて分析した。分析結果から、CCNSは重症心不全患者の治療選択におけるSDMに看護師が参画できていない現状を危機的に捉え、その打開に向けて、看護独自の取り組みを活性化し、多職種で重症心不全患者・家族の選択を支える体制構築に挑んでいるという実態を認識していることが明らかとなった。論文にまとめ、投稿している段階である。 今後、第2段階として、看護師参画に影響する要因間の構造を明らかにして看護師参画モデルを作成する、第3段階で、多職種参画によるモデル案を構築する計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、第1段階の調査として、重症心不全患者の治療選択におけるSDMへの看護師参画の実態について明らかにするための質的調査を計画し、予定どおりに実施できた。研究対象者として、急性・重症患者看護専門看護師(以下、CCNS)のうち、重症心不全患者の意思決定支援の実績がある10名をリクルートした。個別に半構成的面接調査を実施し、10名の結果を総合して質的統合法(KJ法)にて分析した。分析結果から、CCNSは重症心不全患者の治療選択におけるSDMに看護師が参画できていない現状を危機的に捉え、その打開に向けて、看護独自の取り組みを活性化し、多職種で重症心不全患者・家族の選択を支える体制構築に挑んでいるという実態を認識していることが明らかとなった。第1段階の調査結果を論文にまとめ、投稿している段階である。第1段階の調査結果から第2段階の看護師参画モデルの作成に向けた研究計画を検討する予定で進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、第2段階(2020年度)として、SDMへの看護師参画に影響する要因間の構造を明らかにして看護師参画モデルを作成する、第3段階(2021年度)で、多職種参画によるモデル案を構築する計画である。 今年度実施予定の第2段階の調査では、SDMへの看護師参画に影響する要因間の構造を明らかにすることを目的としている。第1段階の調査結果から、SDMへの看護師参画に影響する要因として、看護師自身の要因だけでなく、多職種との関係性などの組織的要因や治療選択に関わる要因なども影響していることが示唆されている。それらの要因がどのように影響するかを明らかにすることで、看護師参画を促進するモデル案の作成へと繋げていきたい。 なお、第2段階の調査における課題として、重症心不全患者の意思決定に関わる看護師への質問紙調査を計画しているが、調査対象の看護師は、COVID-19への対応に追われていることが推測されるため、質問紙調査を計画するにあたり、回答しやすい方法(web調査等)を検討する必要がある。
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Causes of Carryover |
第1段階の質的調査で、面接対象者が、近隣の近畿圏だけでなく、関東や九州地方に在住しており、旅費が当初予定より多く必要となったこと、また録音データの音声データ書き起こし費用の不足が予測されたため、2019年度は前倒し請求を実施した。音声データ書き起こしは、研究者自身で実施した分の費用が浮いたため、次年度使用額が生じた。 使用計画として、第2段階の質問紙調査にかかる郵送費およびweb調査の費用として計上したい。
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