2018 Fiscal Year Research-status Report
精神疾患の親をもつ思春期の子どもの健やかな育成支援プログラムの開発
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18K10493
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
田野中 恭子 佛教大学, 保健医療技術学部, 講師 (50460689)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甘佐 京子 滋賀県立大学, 人間看護学部, 教授 (70331650)
土田 幸子 鈴鹿医療科学大学, 看護学部, 准教授 (90362342)
佐藤 純 京都ノートルダム女子大学, 現代人間学部, 准教授 (90445966)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 精神疾患 / 精神疾患の親 / 精神疾患の親をもつ子ども / 精神障害 / 家族 |
Outline of Annual Research Achievements |
精神疾患の親をもつ子どもの困難に関する質的調査およびドイツでの先進的な取り組みについて調査した結果を論文にまとめ報告した。それらの内容をふまえて、以下の取り組みを行った。 1.思春期向け情報誌開発:ヨーロッパ各国で使用されている子どもの年代別情報誌、3種類を取り寄せ、翻訳を終了した。本誌原本はオランダにて作成されており、版権を所有している団体の概要についての把握をすすめている。オランダ在住の日本人コーディネータ―の紹介を受け、今後、情報誌の日本語版作成や現地との意見交換の協力について承諾を受けた。国内の情報誌としては、NPO法人ぷるすあるはの情報や他の疾患を患う親とその子どもに関する資料などを集約中である。 2.教員啓発研修:教員免許更新講習会を2回実施し、計197名の教員の参加があった。アンケート結果で「1.心の不調を抱える保護者とその子どもについての理解は深まったか」について、①そう思う68%、②ややそう思う30%、「2.心の不調を抱える保護者とその子どもへの『対応』について理解は深まったか」については、①そう思う63%、②ややそう思う35%、となった。精神疾患の親とその子どもについての理解や対応について、98%が理解が深まったとしており、良好な結果といえる。 3.プロモーションビデオの製作:当初の計画では予定していなかったが、研究協力者であるNPO法人ぷるすあるはの企画でプロモーションビデオ「親が精神障がい、子どもはどうしてんの?」の制作に参画し、Webサイトにアップされた。プロの映像制作者の協力を得て教員、医療職、研究者の視点で作成した7分ほどのビデオである。当ビデオを教員免許教員講習会でも上映し、評価として「わかりやすかった」「養護教諭部会でも情報共有したい」など、好評を得た。当該テーマの啓発を促す新たなツールとなったと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.思春期向け情報誌開発については、当初はヨーロッパ各国で配布されている「精神疾患の親をもつ思春期向け情報誌」を製作しているドイツの団体と啓発活動や日本語版製作の打合せを行う予定にしていた。しかし、調査のなかで版権がオランダにあることがわかり、オランダの団体との交渉を必要とした。そこで、現地の日本人コーディネーターの紹介を受け、今後の予定について打合せを行った。また、当初予定していなかったが、研究協力者が企画した啓発ビデオの制作に参画し、Webサイトにアップされた。 2.教員啓発研修については、既存の教員研修内容の把握と分析を行い、研修プログラムを検討し2回実施した。アンケート結果をもとに、内容を改善し、次年度に本格実施し、評価を得る予定である。 以上より、本研究課題について「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
1.思春期向け情報誌開発 1)日本の精神疾患の親がいる子どもの支えについて論文執筆(2019年6~10月):半構造化面接した結果を論文としてまとめ、英文雑誌に投稿する。結果を今後の研究活動に反映させる。2)関連情報誌の収集と分析、情報誌作成方法と普及ルートの検討(2019年11月):引き続き国内外の関連する情報誌を収集、翻訳、分析を行い、分担者と意見交換を行う。また、当該テーマの情報をWebサイトで行っているNPO法人ぷるすあるはと打合せを行い、紙面の作成や普及方法について検討を行う。3)情報発信について諸外国との意見交換(2019年12月):ドイツおよびオランダの関連団体のHpから活動内容や発信情報について整理する。その内容をもとに、不明点や情報誌制作について問い合わせを行う。その後、2020年度の訪問調査を検討する。4)児童専門書の出版(当初の計画に追加)(2019年6~12月):啓発ツールとして精神疾患の親をもつ子ども、周囲の大人、専門職向けの児童専門書の出版準備を行う。また、本や情報誌に反映させる日本の当該の子どもの相談、支援先について情報収集を行う。 2.教員啓発研修(2019年5月~12月) 1)倫理審査委員会への申請:教員啓発研修の評価方法を検討し、倫理審査委員会への介入研究に関する承認申請を行う。2)教員免許更新講習会を3回(8月、10月、12月):講習会の実施、評価を行う。講習会の内容については平成30年度に実施した内容とアンケート結果をもとに分担者と共に見直しを行う。3)学会発表:実施した結果を日本公衆衛生看護学会(2020年1月)で発表し、関係者と意見交換を行う。
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Causes of Carryover |
代表者と分担者3名でドイツを訪問し、ヨーロッパ各国で配布されている「精神疾患の親をもつ思春期向け情報誌」を製作している団体と啓発活動や日本語版製作の打合せを行う予定にしていた。しかし、事前調査のなかで版権がオランダにあることがわかり、オランダとの交渉を必要とした。オランダとの交渉について、日本人コーディネーターとの打合せで平成30年度は終了したため、外国旅費分が残額となり次年度使用が生じた。 今後、オランダとドイツの各団体と交渉し、2020年度に現地を訪問し啓発活動に関する調査や情報誌の日本語版作成について打合せを行う予定である。
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