2019 Fiscal Year Research-status Report
精神疾患の親をもつ思春期の子どもの健やかな育成支援プログラムの開発
Project/Area Number |
18K10493
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
田野中 恭子 佛教大学, 保健医療技術学部, 准教授 (50460689)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甘佐 京子 滋賀県立大学, 人間看護学部, 教授 (70331650)
土田 幸子 鈴鹿医療科学大学, 看護学部, 准教授 (90362342)
佐藤 純 京都ノートルダム女子大学, 現代人間学部, 准教授 (90445966)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 精神疾患の親をもつ子ども / 精神疾患の親 / 精神疾患 / 精神障害 / 家族 |
Outline of Annual Research Achievements |
精神疾患の親がいる思春期の子どもの育成支援プログラムの開発を目的とし、以下の2点について研究を進めた。 1.思春期向けの情報誌の開発:ドイツの児童専門書「Sonnige Traurigtage Ein Kinderfachbuch fuea Kinder psychisch kranker Eltern」(悲しいけど、青空の日 精神疾患の親をもつ子どものための児童専門書)の翻訳出版をするために、クラウドファンディングで出版費用を募るプロジェクトを推進した。9月下旬に目標額を達成し、2020年6月出版に向けて翻訳校正を行った。プロジェクト中はSNS等を通じて、精神疾患の親をもつ子どもの状況を伝え、協力を求めた結果、全国から約400名の協力を得ることができた。この活動を通して、当該の子どもや家族への関心を広げることができたと考える。 2.教員啓発研修の開催:教員免許更新講習会「こころの不調を抱える保護者と育てられる子ども-理解と対応-」を計3回、262名の教員に対して行った。講師は3名で分担した。内容は講義だけでなく、グループワークやロールプレイを取り入れ、精神疾患の保護者の気持ちや対応の理解を深められるように工夫した。講習会後、アンケート調査を実施し、質問「保護者および子どもの理解が深まったか」に対して、「そう思う」76%、「ややそう思う」24%との結果を得られた。概ね理解を深めることができたと考える。 3.精神疾患の親をもつ子どもに関する啓発活動:雑誌への寄稿や家族向けの講習会などを実施し、当該の子どもに関する理解を広げられるように努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1.思春期向けの情報誌に関して、参考にしたい冊子を発行しているオランダの事務局に問い合わせを行っていたが、協力する旨の回答が得られず、冊子作成の方向性を見直した。一方、国内では精神疾患の親と暮らす子ども(小学校中学年以上)が参考になる情報媒体が限られている中、ドイツの児童専門書の翻訳出版を確実にすることができた。 2.教員啓発研修については実施できたが、アンケート調査の倫理審査申請が遅れているため、進捗状況を「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
1.思春期向け情報誌については、オランダの情報誌だけでなく、諸外国の情報誌および、これまでの研究成果「当該の子どもの困難と支えとなったこと」をもとに、新たな日本語の冊子を作成する方向で計画する。 2.教員免許更新講習会については倫理審査委員会の許可を得る事、新型コロナウィルス感染症拡大で講習会開催が危ぶまれるが、オンライン会議システムを活用した講習会を開催できないか、関係者と協議する。
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Causes of Carryover |
研究1.「思春期向け情報誌の作成」に関連して、研究者3名でドイツおよびオランダを訪問し、欧州で配布されている「精神疾患の親をもつ思春期向け情報誌」を制作している団体を訪問し、活動内容の調査や日本語版発行の了解を得ようと問い合わせを行った。しかし、当該団体からの了解が得られなかったため、外国旅費分が残額となり次年度使用が生じた。 新型コロナウィルス感染症により、海外訪問調査が引き続き困難な可能性が大きい。国内で思春期向けの情報誌やSNSで簡単に情報が得られる動画作成の費用として使用予定である。
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