2019 Fiscal Year Research-status Report
生活困窮者と次世代家族の生活習慣改善とセルフケア能力獲得に向けた保健師の家庭訪問
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18K10535
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
田村 須賀子 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (50262514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八塚 美樹 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (00293291)
高倉 恭子 富山大学, 学術研究部医学系, 准教授 (50324083)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 福祉部門に配置された保健師 / 家庭訪問援助 / 保健師の意図 / 保健師の行為 / 生活保護受給等の経済的生活困窮者・家族 / 健康管理支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、生活保護受給等の経済的生活困窮者・家族への健康管理支援のために、市町村の生活保護担当課に配置された保健師による、家庭訪問が主軸の個別支援の特徴を(1)熟練保健師への支援事例調査により明確にし、(2)保健師が個別支援により捉えた生活困窮者・家族に特異的な生活実態から、生活習慣病予防に向けた取り組み課題を明らかにする。これにより、生活習慣病予防等のセルフケア能力獲得に向けた健康管理支援方法を検討するための先駆的研究を行う。 市町村の生活保護担当課に配置された、熟練保健師(原則5年以上の実務経験)による家庭訪問も含む個別支援過程における保健師の意図と行為を調べる。データ収集は、家庭訪問を行った保健師に個別支援再現記録を作成してもらい、研究者がその記述内容を理解するためインタビューで内容確認する。今年度は、「市」の生活保護担当課に配置され生活困窮者を支援する保健師(6名)による支援過程を調査した。情報を整理した。 データ分析は、保健師の行為と、その行為を方向づける意図の内容分析と、視点をあてた詳細な分析を行う。詳細な分析の視点は、先行研究により妥当性が確認できており、これまでの研究経過で修正を重ねて採用してきたもので、(1)看護援助を提供する者と受ける者との相互作用、(2)家庭・地域生活を含めた援助提供、(3)援助ニーズの優先度の判断と援助提供方法の選択、(4)対象の過去の経験に対する援助提供、(5)看護援助の他事例や保健事業・施策への反映、(6)関係職種との連携、である。 本研究での分析の成果を学校給食等での食育にも波及させるため、学童期からのセルフケア能力獲得支援方法を検討し、経済的困窮であっても学童期から獲得可能な生活習慣とセルフケア能力獲得支援が提案できるよう、学校教諭・養護教諭の意見も把握した。質問紙調査で5名、そのうち学校教諭一人に面接調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
熟練保健師(原則5年以上の実務経験)による家庭訪問が主軸の個別支援過程を研究対象とし、生活保護担当課に保健師を配置している市町村保健師(6~9名程度)予定のところ、今年度は、「市」の生活保護担当課に配置され生活困窮者を支援する保健師(6名)による支援過程を調査した。前年度の生活保護担当課に配置された保健師3名と、障害福祉・高齢福祉課等に配置され生活困窮者を支援する保健師5名を合わせると、14名から情報が得られている。 また学童期からのセルフケア能力獲得支援方法を検討し、経済的困窮であっても学童期から獲得可能な生活習慣とセルフケア能力獲得支援が提案できるよう、学校教諭・養護教諭の意見も把握する調査も、研究者所属機関の倫理審査委員会の承認を得て開始できた。 以上のとおり、概ね当初計画どおりの進捗状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 生活保護担当課に配置された保健師あと1名に面接する予定であった延期となっている。あと1~2名の保健師による支援過程の調査を追加する。 (2) 福祉部門に配置された保健師による、生活保護受給等の経済的生活困窮者・家族への健康管理支援のための、家庭訪問も含む個別支援の特質を分析手順に従って検討する。 (3) 学校給食等での食育にも波及させ、学童期からのセルフケア能力獲得支援方法を検討し、経済的困窮であっても学童期から獲得可能な生活習慣とセルフケア能力獲得支援するための、学校教諭・養護教諭の意見の把握も長野県と山梨県の養護教諭研修会の場で実施する。
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Causes of Carryover |
おおむね順調に進んだが、予定されていた一人の保健師(兵庫県)への面接調査が延期となったため、\77,872の繰越金が生じた。 (1)追加の調査のための旅費と謝品、データ記憶用機器購入費;国内旅費(1ヶ所×@50)、調査協力の保健師謝品(2人×@5) (2)経済的困窮であっても学童期から獲得可能な生活習慣とセルフケア能力獲得支援を提案するための検討会議費と旅費;会場費(2ヶ所×@10)、国内旅費(2ヶ所×1回×(@25×3人+@20×1人+@10×1人))(3)健康生活指導を担当する学校教諭への質問紙調査を郵送法のための経費;依頼・返信・礼状の通信費(2ヶ所×30人×@(\140+84))、(平成29年発送、回収)(4)調査票のデータ入力委託費(1式×@200)200千円 (5)成果報告のための学会参加費と旅費;国外学会 (3回×@50, 1ヶ所×@300千円, 1ヶ所×@100),16TH WORLD CONGRESS ON PUBLIC HEALTH 12-17 OCTOB-ER 2020, ROME, ITALY、24rd EAFONS 4-5 March 2021、国内学会(3回×@10, 3ヶ所×@50)
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Research Products
(5 results)