2021 Fiscal Year Research-status Report
認知症者のセルフマネジメント力を支えるケアプログラムの作成と有効性の検討
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18K10542
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Research Institution | Nagano College of Nursing |
Principal Investigator |
細田 江美 長野県看護大学, 看護学部, 講師 (10290123)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 みどり 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (60293479)
千葉 真弓 長野県看護大学, 看護学部, 准教授 (20336621)
池上 千賀子 (曽根千賀子) 長野県看護大学, 看護学部, 講師 (40336623)
有賀 智也 長野県看護大学, 看護学部, 講師 (10708069)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 認知症 / 認知症ケア / セルフマネジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年は認知症当事者ご本人および物忘れ外来にて対応するケアスタッフに聞き取りを行ったが、本年度は当事者ご本人が家族とともに住み慣れた地域で暮らすために支えとなる認知症カフェなどの「通いの場」や介護者のつどいの場に参加しつつ、認知症当事者のセルフマネジメント力を支えることについて地域での支援者から数例ではあるが聞き取りを行った。セルフマネジメント力の向上のためには、今の状況及び今後の見通しについて介護者や当事者が理解納得の上、望む支援を受けながら自ら方向性を模索する。加えて、支援者は本人の意思を見守っていくことが大切とされている。しかし、聞き取りをする中で、現在の状況から今後間違いなく介護崩壊が予測されたため施設利用をすすめた結果、支援者の介入を頑なに拒むようになり今まで培ってきた関係性が崩れサポート体制が取れなくなってしまった事例や、介護者として学習会などからの学びを生かし認知症当事者のできることを見守る事に重きを置きケアを行っていたが、ケアの長期化によって介護負担感が増し虐待に至ってしまった事例など、認知症当事者を含めた家族および主介護者の役割・関係性によってその対応や介入のタイミングの見極めがかなり難しく感じていることがうかがえた。 昨年度の認知症看護認定看護師への聞き取りから、当事者のセルフマネジメント力向上のためには、家族への支援が必要であると考えられたが、今年度の取り組みからも同様の傾向がうかがえた。さらに、家族構成やまとまり具合、役割分担など各家庭によってその在り方は千差万別である。そのため、画一的な家族支援ではなくそれぞれの持つ家族機能や家族システムの特徴に応じた支援の在り方を検討する必要があると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年と同様、新型コロナウイルス感染拡大が続く状況下にて、当事者および関係者の安全確保を最優先とし、近隣の通いの場に限定し行った。その結果、研究フィールドの確保困難の影響もあり聞き取り事例数が限定され進捗状況に遅れが生じた。具体的には、蔓延防止措置期間や感染レベルが高い期間が続き「通いの場」やつどいの場がほとんど休会や不定期開催となった。そのため、当事者の方の会への参加も控えられることが多くご家族や当事者の方々や通いの場などの地域支援者の方々との接点および関係性の構築に支障が生じた。また、行政機関関係者及び認知症看護認定看護師などの専門職においては、コロナ対応業務など状況が落ち着かず、研究を推し進めることに対しては対象者に負担を強いることとなり倫理的配慮に反すると判断し調査やディスカッションを控えた。加えて、大学および地域におけるコロナワクチン接種のための協力、実習および教育への対応調整等にて時間的余裕が持てなかったことも一因として挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本来であれば、今年度にて研究をまとめる時期であったが、研究期間を1年延長承認を受けたことから、今まで考えられたことをもとに家族機能や家族システムの特徴を視点を置き本来の業務に差し障りのない範囲で負担感のないようリモートなど活用しつつ地域支援者、認知症看護認定看護師から聞き取り分析をすすめ明らかにしていく。また、通いの場など可能な限り参加し、当事者、家族からの聞き取りも積み重ね成果発表できるようまとめていく。 いずれの場合も新型コロナ感染状況を注視し、レベルに合わせた対策等を十分に行いつつ進める予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度における調査及び分析検討が不十分であるため、次年度の実施に必要な経費とともに成果発表のための諸費用とする予定である。具体的には、事例分析のためのソフトウエア、文献・書籍および、感染状況によってリモートを活用する必要性が生じた場合、通信機器(環境が整わない対象者貸出など含む)の購入費、研究協力者への謝礼、感染状況が緩和されれば旅費等に使用する予定である。
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