2019 Fiscal Year Research-status Report
高齢下肢運動器障害患者の手術治療のQOL・リスク・医療経済効果統合モデルの開発
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18K10569
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
上杉 裕子 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (40423230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 申也 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (20437487)
藤岡 秀英 神戸大学, 社会システムイノベーションセンター, 教授 (30252753)
張 帆 神戸大学, 経済学研究科, 経済学研究科研究員 (30463318)
松本 知之 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (50546588)
黒田 良祐 神戸大学, 医学研究科, 教授 (80379362)
西井 孝 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪急性期・総合医療センター(臨床研究支援センター), 整形外科, 主任部長 (70304061)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 医療費 / 変形性膝関節症 / 変形性股関節症 / 人工関節 / QOL / 保存療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の手術適応患者の高齢化に伴い、医療費の増大が懸念される昨今、その検討をした報告はまだ少ない。我々は後期高齢者の下肢関節手術の手術治療に関連した医療費の動向を、手術患者と非手術患者(保存治療患者)と比較して調査した。2019年6月-12月にA大学病院整形外科外来を受診したB県に居住する80-85歳以上の変形性膝関節症、変形性股関節症患者を対象として調査を行った。 B県後期高齢者広域連合から医療費データの提供を受けた。下肢関節疾患による影響のみの医療費を検討するため、極端な高額請求がある患者を除外し、手術群では収集した医療費の請求が手術のみであった14名、保存療法群では3万点以上の高額請求がない8名を対象とし分析した。人工関節手術前後の医療費(医科決定点数)の特徴として、術前の2ヵ月、術後の3ヵ月は比較的高い傾向を示した。本研究では、これらの期間および手術が実施された月を除いた、術前11ヵ月から3ヵ月の医療費(以下、術前医療費)と術後4ヵ月から12ヵ月の医療費(以下、術後医療費)を比較した。各人(n=14)の毎月医療費の平均は術前医療費が3253.5点、術後医療費が2911.2点であった。両群の差をノンパラメトリック手法(ウィルコクソン符号付順位和検定)により検定したところ、統計的に有意な差は認められなかった(p=.593)。保存療法中患者の推移を検討では、レセプト保有期間内にひと月当たり医科3万点以上の高額請求行っていないという条件を満たした6名を解析対象とした。毎月の医療費の平均値を被説明変数、取得レセプトの初月である2013年12月を「1」とし、末月である2018年11月が「60」となるトレンドを説明変数とし、OLSによる線形回帰分析を行った。結果として、毎月13.3点の医療費の増加が、統計的に有意に認められた(p<.05)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度報告で分析対象とした、過去5年以内に手術をした手術療法群:24人(平均年齢82.7歳:SD1.8) 男性3人、女性21人、変形性膝関節症18人、変形性股関節症6人。 保存療法群:11人(平均年齢81.9:SD2.2)、男性1人、女性10人、変形性膝関節症8人、変形性股関節症3人より結果が得られている。対象者は変形性膝関節症、変形性股関節症を含んでおり、加えて手術療法患者も保存療法患者も含んでいる。 また、現在合計80名の患者よりデータを得ることができており、随時解析を行っていく予定である。よって「おおむね順調に進展している」
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これら医療費のデータの蓄積を行い、調査対象者数を増やし、医療経済的分析を信頼性の高いものとする。患者の生活の質(QOL)の把握のため調査している健康関連QOL尺度であるSF-8、下肢関節機能QOLとして、変形性膝関節症患者にはOxford Knee Score, 変形性股関節症患者にはOxford Hip Score、一般セルフエフィカシースケール(GSES)との関連を確認し、患者の医療費がどのように患者QOLに関連しているのかを経済学の専門家、医学の専門家の意見を反映しながら、分析し確認することとする。 手術的治療群・保存的治療群それぞれで、抽出した患者(5名ずつ)への詳細なインタビ ューからリハビリテーションや生活指導などの医療・介護ケアのプログラム内容・実行性が 治療効果、身体機能の変化と在宅ケア移行にどう影響したかを解析する。
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Causes of Carryover |
学会発表等準備をしていたが、新型コロナウィルス感染症の影響により学会が中止となり、学会発表がなくなったため。
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