2019 Fiscal Year Research-status Report
被災直後の混乱期対応に有効な保健師の健康危機管理支援ツールと研修プログラムの開発
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18K10591
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Research Institution | Seirei Christopher University |
Principal Investigator |
若杉 早苗 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 助教 (40718748)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 健康危機管理向上プログラム / シミュレーション / アクション・カード |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度の災害拠点病院の医療従事者に対する危機準備状況の結果及び東日本大震災で被災対応を経験した保健師のインタビュー調査の結果、先行研究の文献検討等を踏まえて、医療従事者に対する健康危機管理能力向上の研修プログラム(案)を作成し、試行的に研修会を実施した。研修プログラムの内容には、災害の実体験ができないことを踏まえて、保健師のインタビュー調査の体験を参考に、Kolbの学習理論を参考に「保健師が対応困難と思われる状況を盛り込んだ具体的な経験」の代わりとなる事例を3パターン作成した。 試行的に研修会を行った結果、プログラム内容の理解度は、全員が「講義の内容をとても良く理解できた」と回答し、研修会の内容を「参考にできる」と捉えていた。研修時間は、試行的に行ったため、3時間の設定で1セッションの内容を行ったため「短い」と感じている結果となった。また、事例は当初、紙面上で事前に提示し、自身の思考整理をした上で研修会に参加し、グループで意見の共有をしていく方法を実施したが、より災害時のイメージを視覚的に持つことができ、疑似体験(シミュレーション)できる事を狙いとし、事例の内容を基に状況設定をシミュレーション(DVD)教材として作成し、研修会で活用する事とした。また試行的に実施した医療機関の希望施設に対し、本調査としての依頼をおこない、4施設の協力の内諾を得た。 2020年度の最終年度では、研修プログラムの内容を計画通り充実させ、研究協力対象施設に対し研修プログラムを実施し、研修効果を明らかにしていくこととする。 また、保健師の健康危機対応の支援ツールとして「アクション・カード」の開発を行う協力自治体においても、カード作成を進めていくための研修を2019年度末に実施予定であったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け夏過ぎに延期となっている。2020年度内のカード作成を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書にある「健康危機管理向上プログラム(案)」を作成し、試行的に医療従事者に対し実施することができた。研究的なプロセスを踏まえて、2020年度には研究協力内諾期間の医療従事者に対し、研修プログラムを実施し、その効果を調査分析する段取りが取れている。また、保健師の健康危機管理支援ツールとして「救護所のアクション・カード」作成のための共同開発自治体に対し研修会をおこない、作成していく内諾を得ている。 このため、研究の進捗状況はおおむね順調に進展しているとした。 2020年度に協力医療機関及び自治体と共同して研究を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度末まで、研究計画に沿っておおむね順調に研究を進めることが出来ており、2020年度前半で研究の調査日程を計画していたが、3月下旬からの新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、すべての研究スケジュールが停止している状況にある。 研究協力の依頼先が医療従事者等であるため、調査(健康危機管理能力向上研修)の場が、クラスターの発生につながる可能性があるため、自粛している状況である。 全国的な感染拡大の終息状況を確認しつつ、調査の再開をしていく。 新型コロナウイルス感染拡大による調査が行えなかった場合の対応策としては、やむなく期間を1年延長する方法を選択せざるを得ない可能性があると考える。
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Causes of Carryover |
2019年度は、研修プログラムの開発の課題から、紙面事例を視覚的効果を高めるために、シミュレーション(DVD)教材作成の費用に充当して研究費を使用したが、研修プログラムの効果を調査するまでに至らず、旅費の研究費使用が少なかった。 2020年度は、健康危機管理能力向上プログラムを医療従事者に提供し、その効果を調査するための経費として使用する。また、保健師の「健康危機対応支援ツール」として「アクション・カード」の作成を協力自治体と共同開発する計画となっているため、専門的知識の教授の経費として研究費を適正に使用する。具体的には、アクション・カードの開発を先駆的に手掛けている医師(中島康先生)に試行的に作成したカードの有効性の指導をいただく。また、東日本大震災の支援対応に従事した保健師に対し、開発した「支援ツール:アクション・カード」の有効性の指導を得るために、費用を充当していく計画である。
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