2019 Fiscal Year Research-status Report
地域包括ケアシステム深化に向けた住民を含む関係者の連携推進要素評価の単一尺度開発
Project/Area Number |
18K10604
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
西出 りつ子 三重大学, 医学系研究科, 教授 (50283544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井村 香積 三重大学, 医学系研究科, 准教授 (00362343)
畑下 博世 東京医療保健大学, 看護学部, 教授 (50290482)
林 智子 三重大学, 医学系研究科, 教授 (70324514)
河田 志帆 京都先端科学大学, 健康医療学部, 准教授 (70610666)
谷村 晋 三重大学, 医学系研究科, 教授 (60325678)
水谷 真由美 三重大学, 医学系研究科, 准教授 (10756729)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Community-based Care / Collaboration / Cooperation / Promotion / Local Residents |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、地域ケアにおける多様な関係者の連携推進要素を評価する単一尺度の開発と結果を視覚化するレーダーチャートの考案である。平成30年度に実施した「地域における連携推進」の概念分析をやり直すことに決め、地域において展開される包括ケアにおける連携の推進について研究を進めることを再確認した。分析精度の向上を重視して、再度、文献検索から始めた。平成31年度は「地域包括ケアにおける連携推進」の構成要素と定義を明確にすることを目的に、平成30年度の方法に準じて文献を検索、EBSCOhostにより “Collaboration or cooperation” and “Community based care” をキーワードに65件を、医中誌Webにより「連携or協働」and「地域包括ケア」をキーワードに189件を検出した。これらを概観した後、概念分析の対象文献を決定し、分析にはRodgersの概念分析の手法を用いた。「地域包括ケアにおける連携推進」の概念の特徴を示す属性、概念に先立って生じる出来事を示す先行要件、概念が発生した結果として生じる出来事を示す帰結についての要素を明らかにし、概念を定義した。この分析結果について、報告書(全国から選ばれた地域活動の中から他の地域に参考になると専門家から評価された好事例)の中で特に質が高いとされた11事例の記述から我々が質的帰納的に明らかにした「地域包括ケアに関わる人々の連携を推進させる要素(西出他, 2019)」と比較しながら論文化しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
地域の多様な関係者による連携の推進要素を評価する単一尺度の開発を本研究の目的の柱とするため、科研申請時以降に「健康増進を含む地域ケアの連携推進を評価する尺度」の論文がないことを平成30年度の初めに再確認した。次に概念分析を行ったが、その結果に疑問をもったため、地域の連携に関する各尺度における「連携」のとらえ方と評価指標の比較、さらに本研究の着想に至った質的データについて平成30年度に再分析を行った。これらは当初の計画になかったが、本研究の質向上に必要不可欠と判断した。これにより、健康増進を含む地域ケアのための連携の関係者(各種専門職、事務職、住民)を調査対象に連携の推進状況を評価可能な単一尺度の開発の必要性を再認識し、概念分析の質向上と面接調査対象地域の選定に向けた知見も得た。なお、質的データ再分析結果を学会及び論文に発表し、「地域包括ケアにおける連携推進」の構成概念と定義を明らかにした結果を論文化しているところである。さらに、地域の多様な連携関係者から「よい連携」の要素を抽出するための面接調査を計画したが、COVID-19の感染予防に考慮した方法変更の必要性が生じ、倫理審査委員会の承認を得るに至っていない。また、2020年5月11日からのThe 3rd International Week “Science in motion” (ドイツFreiburg)において、概念分析の結果とともに日本の地域包括ケア活動を紹介予定(Lecture title: Advancing Community-based Integrated Care along with the Motion of Society in Japan)であった(※COVID-19により中止)。これら追加プロセス等に時間を要したため研究は遅れたが、計画内容を変更するものではなく、今年度も順次進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの地域社会では、病院と在宅医療の連携、医療と福祉の連携、医療と産業保健の連携など、「集中ケアや療養生活の継続」のために、複数の組織間または複数の専門職間において連携が行われてきた。しかし、日本では世界に例をみない急激な高齢化に伴って地域包括ケアの重要性が意識されるようになり、健康課題をもつ人たちの本来の生活の場における生活継続に向け、住民を含む地域資源を活用した支援活動が増えてきた。さらに、疾病や介護の予防、健康増進といった「一次予防」の視点に立つ活動展開を図ることも意識されるようになってきた。しかし、この動きについて発表された論文は少なく、それらの活動における連携推進に焦点を絞った論文はさらに少ない。この状況下において、本研究を推進する上で以下の2つの大きな課題が研究初年度に浮上したが、(1)データベース検索した論文から地域ケアにおける連携推進の構成概念を抽出できるのか(構成概念は2者間連携や専門職間連携から脱却できるのか、連携全般に通用する構成概念のみではないか、医療現場ではなく地域に特化した連携推進の内容が抽出できるのか等)は、概念分析の結果を得て解決した。(2)面接対象の多様な連携関係者が「よい連携」を語ることができるのか(「よい連携」を意識または経験しているのか、地域住民が連携の脇役になっていないのか、一次予防の活動展開が地域保健行政の力に頼りすぎていないのか等)についての対応としては、ケアシステムの発展過程を意識しながら概念分析を進めたことに加え、形成期と発展期、いずれかのケアシステムが現在動いている地域両方を対象地区とする、または発展期のケアシステムのある地域において調査を実施して形成期のケアシステムを覚えている者を意識的に面接対象とすることであると考えている。
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Causes of Carryover |
(理由):本研究の質向上に向けて計画していなかった研究プロセスを入れたたため、概念分析の終了と面接調査の実施が遅れた。調査関連の追加費用や論文投稿と学会発表などの費用が持ち越しとなり、次年度使用額が生じた。 (使用計画):調査および学会発表等に充当する予定である。
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