2021 Fiscal Year Research-status Report
精神担当保健師のための「同僚と10分で困難事例対応能力を向上させる業務モデル」
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18K10606
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
守田 孝恵 獨協医科大学, 看護学部, 特任教授 (00321860)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越田 美穂子 富山県立大学, 看護学部, 教授 (30346639)
山田 小織 福岡女学院看護大学, 看護学部, 准教授 (60369080)
磯村 聰子 山口大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (80437623)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | タイムスタディ / 保健所保健師 / 精神保健業務 / 業務時間量 |
Outline of Annual Research Achievements |
精神障害者施策は入院医療から地域ケアへ移行し、地域支援が展開されているが、精神疾患の特性として病状悪化による自傷他害や近隣苦情といった地域社会の問題を含む複雑困難な事例も多く、精神担当者には高度な対応技術の習得が急がれる。 本年度は、困難事例を対象とする保健師の業務で、警察官通報を受理した場面における業務の内容と同僚との関わりを、業務時間量から分析した。本場面において対象となった事例は、自殺未遂による通報事例であった。通報を受理した保健師は、カルテを探す、書類を確認、対象者の家族に電話確認し、他の保健師が警察署へ出向いた、その間、7人の保健師によって、通報を受けた13時42分から14時29分の47分間に7回、同僚と相談、確認、情報共有が行われていた。19年目の保健師は、3年目の保健師に対して説明をしながら対応していた。相談・確認・情報共有は合計時間は36分、1回あたりの平均時間は5.1分であった。事例の全体像を確認しつつ、対応について検討していた。保健師は事例と関わりながらも、通報対応以外の様々な担当業務を同時進行で行っていることが明らかになった。今回の場面には、保健師同士の相談、確認、情報共有が3年目の保健師の教育の場面となっており、その場面が平均5.1分であったことは、本研究の10分以内のOJTの可能性を示唆するものであった。今後、保健師同士の相談、確認、情報共有において行われる教育的内容を抽出し、困難事例を対象とする対応のOJTモデルの内容を検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナ感染症対応の第一線機関である保健所の保健師を研究対象としているため、新規の調査が不可能な状況となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
保健所の精神担当保健師による困難事例対応時のタイムスタディ調査の実施の可能性を探りつつ、すでに収集したデータ(警察官通報事例の受理対応時のタイムスタディ)について分析を深め、業務モデルの検討を図る予定である。全国県県型保健所保健師による精神障害者の再発予防に向けた警察官通報受理業務を明らかにした研究結果(伊藤.守田,2021)で示したように、通報の再発予防のために、地域生活維持の環境整備や、危機余地の連絡体制構築、入院中からの患者理解、共通理解を促す事例検討の4要素をOJTで養う保健師の能力として位置づける。そして、タイムスタディで明確化した業務内容の意味づけを補足する。さらに、業務の目的を地域の精神障害者の再発予防とする、実践的な業務モデルの構造化を試みる。
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Causes of Carryover |
予定していた調査が新型コロナ対策の影響によって実施できなかったため。次年度、状況を把握しながら研究の可能性を追求する。
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