2019 Fiscal Year Research-status Report
認知症の診断直後からの家族介護者に対する支援体制の構築
Project/Area Number |
18K10630
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
古村 美津代 久留米大学, 医学部, 教授 (70320249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 まなみ 久留米大学, 医学部, 助教 (00713190)
中島 洋子 久留米大学, 医学部, 教授 (20279235)
椛 勇三郎 久留米大学, 医学部, 講師 (30368964)
小路 純央 久留米大学, 付置研究所, 教授 (50343695)
草場 知子 久留米大学, 医学部, 講師 (60368967)
飯山 有紀 熊本保健科学大学, 保健科学部, 准教授 (00792087)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 認知症 / 診断直後 / 家族 |
Outline of Annual Research Achievements |
認知症高齢者が急増する中、平成27年度新オレンジプランが策定され、地域包括ケアシステムの推進を目指している。しかし、認知症高齢者に対する家族介護者の虐待件数は増加傾向にあり、認知症高齢者をめぐる問題が深刻化している。現在、家族介護者の支援は、保険診療による認知症看護外来、認知症の人の家族の会、市町村の広報誌による相談支援が実施されている。しかし、家族介護者に対する支援は、介護者自らが受診・相談に対して主体的に相談の場所を探すことが必要である。さらに支援を求める時期は、認知症の重症化や家族介護者の孤立等の問題が深刻化している。そのため、認知症の診断直後から認知症の人の最も身近な家族介護者の支援体制を構築していくことは重要な課題である。 今年度は、もの忘れ外来を受診しアルツハイマー型認知症の診断を受けた直後の家族に対してインタビュー調査を実施し家族介護者の抱える思いを明らかにした。対象者は、家族介護者10名、男性4名、女性6名であり、平均年齢62.8歳(SD13.2)であった。インタビュー調査で語られた家族の思いを逐後録とし、質的帰納的に分析した。その結果、認知症診断直後の家族介護者は、認知症の初期症状の困惑や対応についての戸惑い、これまでの生活に介護が加わる負担感や悶々とした思いを抱えていることが明らかになった。さらに診断初期は、内服薬などに対して医療者への不信感を抱くとともに社会資源に対する期待の思いをもっていることが明らかになった。今回の調査結果は、アルツハイマー型認知症の家族であったことから、その疾患の特徴が影響していることが考えられる。しかし、認知症の診断直後の家族介護者個々の思いを理解し早期に支援を開始していくことの必要性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
家族介護者のインタビュー調査は、研究計画1年目実施予定であった。しかし、もの忘れ外来初診から認知症の診断がつくまでの期間は様々であり、研究者と家族介護者の面談の調整に時間を要したことが原因と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、アルツハイマー型認知症の診断直後の家族を対象とした。今年度は、アルツハイマー型認知症以外の疾患の診断直後の家族の思いを明らかにする。さらに、家族の思いをまとめて、アンケート調査を実施する。
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Causes of Carryover |
研究の遅れにより、昨年度、計画していた認知症高齢者を介護する家族に対する全国調査を実施できなかった。今年度は、インタビュー調査とともに全国調査を実施していく。
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