2018 Fiscal Year Research-status Report
大規模災害時の健康支援に対する自治体保健部門の受援体制モデルの構築
Project/Area Number |
18K10641
|
Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
佐々木 久美子 宮城大学, 看護学群(部), 教授 (80310150)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 道子 四国大学, 看護学部, 教授 (40552097)
吉田 俊子 宮城大学, 看護学群(部), 教授 (60325933)
塩野 悦子 宮城大学, 看護学群(部), 教授 (30216361)
勝沼 志保里 宮城大学, 看護学群(部), 助教 (10794323)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 大規模災害 / 受援 / 自治体 |
Outline of Annual Research Achievements |
・本研究は、大規模災害時の被災自治体において健康支援を司る自治体保健部門と被災地外の支援した自治体保健部門の職員を対象に、その支援受入れを困難とする要因を明らかにし、効果的な受援体制を構築し、その効果を検証することを目的としている。 ・2018年度は、先行研究から支援を受ける側の問題となる要因の抽出及び調査項目の検討を行うことを計画していた。要因の抽出の方法は、1)国内外の文献システムによる検索、各自治体のホームページから資料の収集を行う。2)入手した文献から、被災した自治体の支援を受けるにあたっての課題を抽出する。3)抽出した内容をもとに、その要因を明らかにしたうえで、調査項目を抽出し検討する。4)被災自治体の支援を受けるにあたって、その自治体の被災状況及び住民の価値観等により異なると考えられるため、その自治体の特徴について概観することであった。 ・文献検索は国内文献を対象とし、医学中央雑誌WEB版とCiNiiのデータベースを用いて検索を行った。期間は2009年から2018年までの文献を対象とし、キーワードは「災害」「受援」と、自治体の受援の課題について検討するため「自治体」も加えた。分析は、大規模災害時の被災自治体において健康支援を司る保健部門の受援の課題および受援を円滑にするための対策の書かれた部分を、文脈単位で抽出し、コード化し、類似したコードをサブカテゴリー化、さらにカテゴリー化した。 ・キーワードによる検索結果から抽出した文献は15件であり、さらに研究目的、研究対象、研究結果から本研究の目的に関連する入手可能な9件を対象文献とした。 ・大規模災害時の被災自治体が支援を受ける際の課題として<受援計画の未整備><地域防災計画の不統一>が挙げられた。また受援対策として<受援計画の整備><災害時の公衆衛生活動の準備><災害時の適切な初動対応>等が必要であると明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
・2018年度は、先行研究から支援を受ける側の問題となる要因の抽出及び調査項目の検討を行うことを計画していた。 ・文献数が当初考えていたものよりも少なかったため、文献から抽出した内容をもとに、支援を受ける際の課題や要因を明らかにすることが難しく、調査項目を抽出・検討するまでに至らなかった。 ・被災自治体が支援を受け入れる場合、被災状況及びその地域住民の価値観や文化的な影響も無視できず、その自治体の特徴を概観する必要があると考えていた。しかし、文献検討が遅れてしまい、自治体の情報収集ができず、各自治体の特徴を整理し概観するに至らなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
・次年度は、受援側である自治体保健部門職員が、支援側である自治体保健部門職員の支援の受入れが困難となった要因を聞き取り調査により明確化する計画である。 ・自治体への聞き取り調査は2019年9月以降に実施する計画であるため、早急に文献検索を再度行い先行研究からの要因分析を行う。その際、キーワードは「災害」「受援」で検索し精査していく。また、対象自治体の特徴を明らかにするため、予定している自治体について情報収集を行う。 ・聞き取り調査にあたっては、倫理審査委員会に申請し承認を得る必要があり、その準備を行い、承認が得られしだい調査を実施する。 ・2018年度の成果については、2019年度日本災害看護学会第21回学術集会で発表予定である。学会に参加し、本テーマに関する意見をいただき、また、情報収集を行うなど今後の研究に反映させていきたいと考えている。
|
Causes of Carryover |
・文献検索に時間が必要であったため、文献から抽出した要因をもとに調査項目を出したうえで、専門家から調査項目について知識の提供を受ける予定でいたが、そこまでに至らなかった。また、被災自治体に出向き情報収集することができなかったため、当初計画していた旅費、謝金の支出金額が少ない状況にある。 ・ネットワークから独立した環境で使用するノートパソコンを購入する予定でいたが、その環境を必要とする状況になかったため購入を見合わせることになり、物品費の支出が少なかった。 ・次年度は被災自治体からの情報収集、研究成果発表のための旅費が必要である。調査票に関する専門家の助言のための謝金、データ入力のためのノートパソコンを購入するための物品費の支出を予定している。
|