2018 Fiscal Year Research-status Report
認知症カフェの質保障と安定した運営に向けた評価指標の開発
Project/Area Number |
18K10644
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
鳥田 美紀代 東邦大学, 健康科学部, 准教授 (50325776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 知子 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 教授 (00314922)
高柳 千賀子 東京情報大学, 看護学部, 准教授 (60310314)
佐瀬 真粧美 東邦大学, 健康科学部, 教授 (10225906)
谷本 真理子 東京医療保健大学, 医療保健学部, 教授 (70279834)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 認知症カフェ / 質評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,超高齢社会の到来や人口の減少,医療・介護にかかる国家的費用の増大を背景として早急な構築が求められている地域包括ケアシステムの一端を担う認知症カフェに焦点をあてている。2015年に打ち出された認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)のもと,地域におけるインフォーマルなケアとして認知症カフェは急速にその設置数を増やし,カフェに対する期待と需要は高まっているが,そのサービスや活動の質を保証する評価の視点や枠組みに関する知見は少ない。これを踏まえ,本研究では認知症カフェの質保証と安定した活動の継続への寄与をめざして,カフェ利用の主体である地域住民の視点を包含した認知症カフェ評価指標を開発することを目的としている。 本研究課題は4年間で実施する計画であり,今年度は,文献検討により,認知症カフェの「質評価の現状」,「質評価の視点」,「質評価の枠組み」に関する知見を得ることであった。現在,医学中央雑誌をデータベースとして,キーワード検索により文献を抽出し,209文献を対象に分析を実施している段階である。 これと並行して,次年度に実施を予定している「認知症カフェ事業所のヒアリング調査」および「認知症カフェに集う住民インタビュー」の実施に向けた情報収集を行った。具体的には,①認知症カフェを運営している世話人との意見交換,②認知症カフェに関する全国規模のフォーラム等への参加,③認知症カフェの運営に携わる専門家(生活支援コーディネーター等)からの情報収集等を実施した。①②③の情報収集を通して,次年度以降に計画しているカフェ事業所のヒアリング調査の計画に際し,多様に発展している認知症カフェの中から調査対象をサンプリングする視点,基準や質評価に関するヒアリング項目等に関する知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の所属の変更等により,研究環境の整備に時間を要し,年度当初の研究開始が遅れたことが主な原因である。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は,次の3点を計画している。①認知症カフェの「質評価の現状」,「質評価の視点」,「質評価の枠組み」について,文献検討の分析を引き続き行い,知見を整理する。また,結果を年度内に公表する。②認知症カフェの評価・質保証に関する実態の解明に向けた「カフェ事業所のヒアリング」,「カフェに集う地域住民インタビュー」の具体的な調査計画を行い,倫理審査等の準備を実施する。③②のデータ収集を年度内に行い,①②の知見の統合分析を行う。 上記の①②③について計画的に推進するための課題は,分析,調査にかかる研究者の時間の確保であると推測される。これに関しては,研究分担者とタイムリーに情報が共有できるようなコミュニケーションツールの活用,定期的な会議の開催,研究組織における研究者の役割の再検討等を適宜行うこととする。 また,認知症カフェに関する関係者および文献等からの情報によると,認知症カフェの現状は,設置主体(行政,医療福祉施設,地域住民等々),活動形態や場所(常設か否か,定期的開催か不定期か等),プログラムの内容(アクティビティ型,語り中心型,イベント中心型等),関与している人材(専門職の関与の程度,ボランティア,介護者,認知症の方本人等)など,その現状は多種多様であることがあらためて確認された。認知症カフェの多様性は研究開始当初から予測されていたことであるが,2018年度の研究活動により,その多様性を分類するための視点に関する示唆を得た。本研究は「認知症カフェの質保証に関する評価枠組みの開発」を最終目的としているが,このような認知症カフェの多様性に対応できる知見を明らかにするためには,対象とする認知症カフェのタイプを何らかの視点で分類して段階的に調査をすすめるなど,研究デザインを変更することも視野にいれて検討を継続する。
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Causes of Carryover |
2018年度は,調査におけるデータ収集方法が文献収集のみであり,ヒアリング調査の実施が次年度に持ち越されたことにより,データ収集にかかる費用の支出が少なかった。また,学会発表等にかかる旅費の申請をしていたが,業務の都合により参加できなかったため,その分の費用が支出されなかった。現時点で研究計画の大幅な修正は予定しておらず,今後の研究活動の進捗によって,当初計上した予算を随時執行する予定である。 今後の研究費の使用においては,当初の研究経費明細額よりも「人件費・謝金」の支出が多少増える予定である。理由は,事務作業にかかる研究者の負担を軽減し,その分の時間をデータ収集,分析に充当することで研究活動の計画的な遂行を目指すためである。なお,その場合でも,直接経費の総額の50%を超えることはない。
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