2019 Fiscal Year Research-status Report
認知症高齢者の摂食困難に対する施設職員の認識と多職種連携を促進させる要因
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18K10649
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Research Institution | The Japanese Red Cross Akita College of Nursing |
Principal Investigator |
高田 由美 日本赤十字秋田看護大学, 看護学部看護学科, 教授 (90433888)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳 修平 姫路大学, 看護学部, 教授 (30145122)
吹田 夕起子 日本赤十字秋田看護大学, 看護学部看護学科, 准教授 (50325908)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 認知症高齢者 / 摂食困難 / 多職種連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、認知症高齢者の摂食困難を多職種連携の促進により改善する態勢づくりの基礎資料として、多職種(看護師・介護福祉士・管理栄養士)の教育的要因を明らかにし、連携の課題および専門分担の方向性を策定することを目的とした。 認知症高齢者は本人の意思確認が難しく、介護者が主体的にケアを組み立てる場面が多くなり、それぞれの専門性の見地から判断した情報の共有と対象者を多面的に理解することが求められる。したがって多職種で情報共有する態勢を整えることは急務であり、専門性を共有できる教育的な基盤づくりが必要と考えて開始した。 平成30年度は、看護師・介護福祉士・管理栄養士を養成する基礎教育で使われる標準テキストを用いた文献検討から、多職種間で認知症高齢者への食事介助を終了する目安や食事摂取量の設定についての共通理解を図るための教育的課題を抽出した。 平成30年度~令和元年10月にかけて、介護老人保健施設7施設の看護師・介護福祉士・管理栄養士を対象とした個別インタビューを実施し、認知症者の食支援への認識変化および多職種連携を促進させる内容に着目し、カテゴリー化を行った。このうち2施設のデータ分析は終了し、次のような結果を得ている。 すべての職種は、認知症者の<食事摂取量減少の対応への限界>を認識していた。多職種連携を通して<多職種の専門性の発揮への配慮><嗜好を考慮した食提供><食べられる範囲を超えたときの苦痛の理解><本人の意思を尊重した食事援助><食事摂取量減少している認知症者への関心><食に関係する学習の必要性>と食支援に対する認識は変化することがわかった。多職種連携を促進するため、看護職は「食事介助時のリスクの浸透」、管理栄養士は「全量摂取に拘らないことの共通理解」を挙げていた。現在、他の施設の分析結果も含めた検討を行い、多職種連携を促進させる教育的要因を明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までに、介護老人保健施設に勤務する看護師・管理栄養士・介護福祉士へのインタビュー調査はすべて終了したが、データ分析が遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度の上半期までに、全データの分析を終了し質問紙調査の準備をする。質問紙調査に関しては研究分担者からスーパーバイズをもらう。 また昨年度実施する予定であった事例検討会は、本来認知症高齢者に対する見方の変化や多職種との情報共有が必要な観察項目や情報を得るためであった。データ分析が遅延していることに加え、新型コロナウイルス感染症の影響から、現時点では施設職員を参集するのは厳しい状況である。そのためデータ分析終了後に、事例検討会で得る必要のあるデータかどうかを再度検討し、必要性によっては違う方法によるデータ収集を行う。 令和2年度中には質問紙による全国調査を行い、介護保険施設の施設職員の認知症高齢者の摂食困難における多職種連携に対する認識と対応との関連、および認知症高齢者のケアにおける多職種連携を促進させる教育的要因を抽出する。
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Causes of Carryover |
インタビューデータの分析作業の遅延に伴い、令和元年度に予定していた事例検討会の開催準備及び質問紙作成のためのスーパーバイズに伴う費用が未使用となった。令和2年度に分析作業を進め、質問紙作成に向けたスーパーバイズを行う予定である。現在、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、学内でのオンライン授業等の準備に膨大な時間が割かれている。よって、データ整理のための人件費・謝金、及び質問紙作成のスーパーバイズを遠隔でもスムースに受けられるよう、オンラインシステムを整備する物品費として使用していきたい。
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Research Products
(3 results)