2018 Fiscal Year Research-status Report
軽度認知障害が疑われる高齢ドライバーのための集学的リハビリテーションに関する研究
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18K10684
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
沖田 学 高知工科大学, 地域連携機構, 客員研究員 (80816934)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朴 啓彰 高知工科大学, 地域連携機構, 客員教授 (60333514)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 高齢ドライバー / リハビリテーション / 軽度認知障害 / 健康運転寿命 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年3月の道路交通法の改正により75歳以上の高齢運転者には認知機能検査が義務づけられた。その時に、認知症のおそれがある第1分類や認知機能の低下がある第2分類の運転者は認知症と診断されない限り運転を継続する。この認知機能の低下は脳機能の異常であり、医学的対応ができる可能性がある。特に軽度認知障害(MCI)は個人により症状が異なり、記憶が中心としたタイプや言語機能、遂行機能、視空間機能の障害の有無や複合障害など様々で (朝田, 2009)、症状を詳細に評価する必要がある。また、MCIはリバート率が14~44%と地域により差があるが改善することが知られている。さらに、認知機能が低下した高齢者でもリハビリテーションにより認知機能が向上する(認知症の人に対する作業療法ガイドライン, 2016)。つまり、認知機能が低下している高齢者には医学的介入の余地がある。そこで当院ではMCI高齢運転者のための自動車運転外来(MCI運転外来)を開設した。この外来の目的は対象者の方に自分の能力を認識して向上してもらい、安全運転寿命を延伸することである。 当院のMCI運転外来を開設して1年経過した時の運転外来受診者は18名(平均年齢81.06±5.70歳、 女性3名)であった。症例の帰結からの分類は、初回の診察で運転継続となった7例 (継続群) 免許を返納した4例 (返納群) 免許が停止処分となった2症例 (停止群) 運転リハビリを実施し運転継続となった5症例 (リハ群)であった。運転継続者は自らの認知機能を自覚して運転行動を振り返ることが重要であった。一方、返納には家族や地域の支えが重要であった。 MCI運転外来の役割は受信者に自分の認知能力と運転能力を自覚してもらうことであった。特に、運転者継続者では自分の認知能力に適切な運転行動を促すことであった。さらに、返納者には地域へ連携する役割があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
公的機関の体制改変により平成30年度の対象者が減少した。そのため、公的機関への協力強化とともに民間機関への協力体制を構築した。これまでの対象者の帰結により、地域包括ケアシステムの一部としての役割やリハビリテーションによる医学的改善ができることなどMCI運転外来の意義が明確化した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和1年度は、提案したリハビリテーションプログラムが有効か否かを検証する。被験者を指導のみ群とリハ課題実施群に無作為に割り付け検証する。この2群の差異からリハビリテーションの有効性を検討する予定である。現在の状況から、返納の高齢者が増えている中、被検者の確保に難渋すると予想されるが、協力機関や地域の方から募集を行う。
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Causes of Carryover |
予定していた協調性評価機器を購入した。また、以前から使用していた動態認知測定装置が違う用途に必要となったため、急遽購入の必要となった動態認知測定装置を購入した。 使用計画として、被験者の募集と検査のために予算を使用する予定としている。
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