2019 Fiscal Year Research-status Report
手指感覚トレーニングに伴う脳皮質活性の変化と手指血流応答の関連性
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18K10712
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
村田 潤 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 准教授 (00304428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 伸 京都橘大学, 健康科学部, 教授 (00389503)
田中 浩二 群馬大学, 大学院保健学研究科, 准教授 (60613601)
古後 晴基 西九州大学, リハビリテーション学部, 准教授 (90640821)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 健常成人 / 点字解読トレーニング / 学習効果 / 手指皮膚血流量 |
Outline of Annual Research Achievements |
感覚トレーニングによる学習効果は,高位中枢における神経ネットワークシステムの再構成に関連すると考えられる.この効果は中枢性自律神経調節に対して影響し,手指感覚情報処理時の循環動態の応答特性を変調させる可能性がある.そこで本研究は,点字解読トレーニングを1ヶ月間実施し,この短期的なトレーニングによる学習効果と手指循環調節能の変化について調査した. 方法:研究対象は点字解読経験のない健常成人20名であった.点字解読課題は視覚を遮断した状態で行わせ,点字解読時の手指皮膚血流量の変動を循環調節能の指標とした.さらに,点字解読トレーニング開始前,期間中,終了後に手指循環調節能を繰り返し評価し,反応特性の変化について検討した.点字解読トレーニングは五十音の点字コード表に従って,被験者に配列を確認させながら10個の点字コードの解読作業を2セット行わせる内容であった. 結果と考察:点字解読トレーニングの実施所用時間の推移について,初回は平均で約400秒間をかけて遂行していたのに対して最終回は約160秒間で遂行可能となっており,トレーニングにかかる所用時間は減少していた.その成績は,点字解読課題に対する学習効果が表れていたことを示す.一方,点字解読時の手指皮膚血流量の変動はトレーニング実施前-40%まで減少する反応が観察されたが,トレーニング後には-23%まで反応量が減弱した.さらに,循環応答のピーク値までの到達時間がトレーニング後に約3秒程度短縮していた.これらの研究成績は,感覚識別時の手指循環動態の応答特性が感覚トレーニングによって変化するとともに,見込み的・予測的な調節要因が強化される可能性を示唆した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
短期的な手指感覚識別トレーニングを実施し,所要時間の短縮から課題に対する学習効果を示すことができ,手指循環調節能に対するトレーニングの影響について検討することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,計画通りに点字を日常的に使用する視覚障がい者を研究対象としてデータを収集し,高度な学習効果の手指循環調節能に対する影響について検討する.
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Causes of Carryover |
本年度は,被験者への謝金が不要であったことから,予定していた研究費が過少となった.次年度に実施する検証実験に必要なる被験者謝金,血流計プローブ固定用シールや心電図電極などの消耗品購入に充てる予定.
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Research Products
(5 results)