2019 Fiscal Year Research-status Report
外眼筋は何故萎縮を免れるのか_筋衛星細胞を活性化する神経シグナルの解明と検証
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18K10793
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
山口 眞紀 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (30271315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹森 重 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (20179675)
山内 秀樹 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60220224)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | サテライト細胞 / 外眼筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に見出したウサギ外眼筋抽出液中に含まれるサテライト細胞増殖因子の活性が、外眼筋収縮後に増加するのではないかという仮説のもとに、ウサギの上直筋(外眼筋)の一部を縫い縮めることにより眼球を上転させるプリケーション法(ヒトに適用される斜視手術の一種)を施行することによって下直筋に過剰な負荷を与えることでサテライト細胞増殖因子が増えるかどうかを調べた。イソフルラン麻酔下でウサギ片側の上直筋にプリケーション法を施し、1週間後に筋を採取した。手術を行った上直筋および過剰負荷がかかった下直筋、および手術をしていない対側の上直筋 /下直筋からそれぞれ筋抽出液をInoueらの方法により作成し、in vitroでサテライト細胞に添加することにより抽出液に含まれる増殖因子の活性を比較した。また、抽出液の質量分析を行うことにより各抽出液の主タンパク成分含量を比較した。サテライト細胞の増殖に対する効果は、予想通りプリケーション手術を施行した筋の拮抗筋である下直筋から作成した抽出液で最も大きく、下直筋が眼位を正常位に戻そうとして経神経的に過剰収縮が起きた結果サテライト細胞増殖因子が過剰分泌された可能性が示唆された。抽出液の質量分析からは、骨格筋を構成する構造タンパクや血液中の生理活性物質が抽出液の主成分であることが確認されたが、抽出液の効果と連動する成分は検出できなかった。より微量な成分にターゲットを絞った解析が必要と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
経神経刺激による外眼筋過剰収縮が、サテライト細胞の増殖を制御する未知の因子を外眼筋内に分泌する可能性が明らかになってきた。そのため本年度はin vitroの実験に焦点をあてて実験を行った。最終年はこの因子をin vivoの結果に結びつける実験を行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
経神経刺激による外眼筋過剰収縮が、サテライト細胞の増殖を制御する未知の増殖刺激因子を外眼筋内に分泌する可能性が明らかになってきたため、最終年はこの因子の実態を生化学的に絞り込むとともにin vivoの実験に還元することを目標とする。 具体的には、まず抽出液作成の前に血液を生理食塩水で潅流し、抽出液から血液成分を除いたもの、次に、生理食塩水で潅流した後に更にサテライト細胞と成熟細胞成分を分けたもののそれぞれから抽出液を作成し、骨格筋組織のいずれの分画に増殖因子が含まれているかを見極める。加えて、ゲルろ過などの方法を用いて抽出液のタンパク成分を分子量により分画し、増殖活性因子の生化学的特徴を絞り込む。一方で、本年度までの結果をin vivoの実験に繋げていくために、過剰収縮により増殖促進活性が増した外眼筋から作製した抽出液をin vivoで肢の骨格筋に注射投与する。投与無しの骨格筋と比較して増殖促進効果が得られるかどうかを組織切片の免疫組織化学解析により評価する。
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Causes of Carryover |
昨年度に行ったin vivoの実験が予定より少なかったために次年度使用額が生じた。最終年度はこの分を含めてin vivo実験のための動物購入費や飼育費、麻酔薬購入費にあてるとともに、細胞培養や生化学実験のための試薬等の購入に充てる。
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Research Products
(1 results)