2021 Fiscal Year Annual Research Report
The Educational Function of Martial Arts in Junior High Schools for the Inheritance of Traditional Japanese Culture
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18K10818
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Research Institution | National Institute of Fitness and Sports in Kanoya |
Principal Investigator |
北村 尚浩 鹿屋体育大学, スポーツ人文・応用社会科学系, 教授 (70274868)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前阪 茂樹 鹿屋体育大学, スポーツ・武道実践科学系, 教授 (10209364)
中村 勇 鹿屋体育大学, スポーツ人文・応用社会科学系, 講師 (70315448)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 伝統 / 文化 / 武道 / 学習効果 / グローバル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度から2020年度にかけて実施した,中学校の教員,中学生,海外の武道参加者をそれぞれ対象としたアンケート調査から得られたデータを,日本と海外のデータを比較して武道のグローバル化・スポーツ化の視点から,その教育効果を検証した. 教員と中学生から得られたデータでは,教員が生徒に指導する際には,他者を尊重する態度や礼儀・礼法を中心に立ち居振る舞いや所作, 相手への感謝の気持ちを重視しており,これらは教員が考える日本の伝統文化が表出したものと考えられる.一方,生徒側は他者を尊重する態度や精力善用,自他共栄などの嘉納治五郎の教えに見られる価値観,座礼・立礼,正座などの立ち居振る舞いなど,教員の指導が学習効果として現れるとともに,着物や畳,裸足といった現代の日本ではなじみが薄れつつある生活様式も日本の伝統文化として学習していることが明らかになった. これに対して海外の武道実施者から得られたデータでは,日頃の稽古を通して,指導者や年長者などの他者への敬意や,技の名前などの柔道用語に見られる日本語,日本や日本人への理解などについて,日本の伝統文化を感じている様子が窺えた.そもそも今回のサンプルは,柔道への参加動機としては「一つのスポーツである」「運動として」ということが多く挙げている一方,「精神修養として」「海外の文化を理解する」という日本の文化に対する興味や関心の影響は弱いことが示唆されていた.また,柔道による学習効果としても体力や運動技能の習得などが多く挙げられており,他者への敬意や日本の伝統文化の理解などは少なかった. 以上のことから,柔道はグローバル化・スポーツ化の過程において日本の伝統文化を媒介する機能が弱まっていることが示唆された. 柔道を通しての学習効果として日本の伝統や文化に対する理解は弱いものの,活動を通して日本の伝統文化を感じている様子を窺うことができた.
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Research Products
(3 results)