2021 Fiscal Year Research-status Report
強さの調整(Grading)に焦点をあてた走動作トレーニングの効果
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18K10877
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Research Institution | Yasuda Women's University |
Principal Investigator |
友末 亮三 安田女子大学, 家政学部, 教授 (70172202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生関 文翔 安田女子短期大学, その他部局等, 講師 (40803367)
吉成 啓子 白百合女子大学, 基礎教育センター, 教授 (50174967)
松尾 彰文 鹿屋体育大学, 学内共同利用施設等, 非常勤研究員 (60126167) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Grading / 走動作 / スポーツ技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
球技系スポーツにおいては、動作を遂行する際のムダな力を取り除く研究が効果を上げている。このことは、良い動きを覚えるためには「空間の調整(Spacing)」「時間の調整(Timing)」「強さの調整(Grading)」というスポーツ技術の3要素のうち、力の出し入れという「強さの調整」に着目することが重要であるということを示している。 そこで本研究では、脱力が容易に達成できる小型トランポリンと、身体を柔らかくするトレーニング器具「TWISTICK」を利用した運動を走動作の指導に導入し、その効果を幅広い観点から検討することにした。 本研究の目的は、短距離走、中距離走、長距離走の選手に小型トランポリン等を利用した走運動の指導を行い、指導前後の疾走技術の変化を圧力板と高速度カメラを用いて、種目ごとに明確にすることである。 2020年度はMATLABを使用して詳細な分析を進めたところ。力量(3成分)のみならず、ピッチ、ストライド、滞空時間、支持時間という要因も、タイムを短縮させるための指標になっていることが明確になった。 最終年度となる予定であった2021年度は、短距離選手のデータを収集するための予備実験が、感染症の流行により一部しか行えなかった。本実験で収集するデータとこれまでに収集した中距離選手のデータと比較することで、各要因の相関関係を明確にし、指導現場に直接役立つ知見を導き出したい。これまでの疾走技術の評価や指導法は、「空間の調整」と「時間の調整」を主眼に行われていたのに対し、「強さの調整」という身体の感覚をより繊細にすることに焦点を当てた新しい指導法が、本研究により提示可能となると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中距離走を専門とする選手のデータを分析することで明確になった次の3点について、短距離走の場合はどのように変化するか、現在分析中である。 ①ピッチが増大してタイムが速くなる場合と、ストライドが増大してタイムが速くなる場合の2パターンが存在する。②滞空時間が長くなっても、スラトライド が大きくなるとは限らない。③基本的に支持時間は長くならない。 この実験が完結すれば、走動作を現場で指導をする際にポイントとなっている部分の重要度を客観的に提示できるだけでなく、そのための指導方法も明確になる ことから、本研究課題は概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
スポーツ技術を「空間の調整(Spacing)」、「時間の調整(Timing)」、「強さの調整(Grading)」3要素でとらえた指導法は、球技系スポーツでは日常的に取り入れられてきたが、陸上競技の場合はほとんど行われてこなかった、という歴史がある。 本研究により、「強さの調整」の指導で競技力が向上することが明確になれば、ムダな力を取り除くという脱力に焦点をあてた新しい指導法に、選手・指導者・そして一般のスポーツ愛好家たちが、目を向けて行くための一つのきっかけになると考える。 本研究結果をまとめていく際には、単なる結果の客観的説明に止まらず、経験と科学の融合という視点をベースに、現場に直接役立つ提言を具体的に導き出していきたい。
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Causes of Carryover |
2021年度に実験が一部しか行えなかったため、謝金等の次年度使用が生じた。 2022年度に当初の計画通り使用する。
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