2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K10922
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
千足 耕一 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (70289817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中原 尚知 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (90399098)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 海洋文化復興 / サバニ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、海洋文化復興運動として沖縄地方の伝統舟である帆掛けサバニの復興運動と伝承運動に着目して、地域社会や地域経済への影響について追及することである。 本年度の研究実績としては、日本沿岸域学会の学会誌における登載論文が1件「帆掛けサバニの現代的な意義に関する事例研究-サバニ帆漕レース参加者に対する調査の質的分析-」、全日本海員組合の発刊雑誌への掲載原稿「木造の新造船 帆掛けサバニ(糸満ハギ)の制作過程」および3件の学会大会での研究発表「糸満市における船大工を対象とした聞き取り調査」「サバニ帆漕レース参加者を対象としたイベントの満足度に関する研究」「帆掛けサバニの現代的意義に関する研究」があげられる。主として、糸満市におけるサバニ大工への聞き取り調査についてまとめた研究と、サバニ帆漕レースやサバニへの取り組みが地域社会に与えた影響を中心に考察した研究である。 論文では、サバニ帆漕レースに参加経験のあるサバニ愛好者を対象とした調査を質的に分析した。在住地域(レースが実施される座間味島、沖縄県内、沖縄県外)によって分類したところ、座間味島在住の参加者のデータにおいては、【島での熱心な取り組み】と【座間味島の中学生への影響】が特筆できる。沖縄県内在住者からは、【レース開催による認知度の高まり】、【レース運営者への感謝】、【日常行動への繋がり】に加えて、【他地域への波及効果】や【レース以外の活用の可能性】が記述された。沖縄県外在住者においては、【沖縄についての理解の拡大】や、他の地域在住の対象者よりも、サバニの【伝統を継承したい】といった思いをはじめとした【個人の思いへの影響】、【サバニに取り組めることへの感謝】が表現され、サバニへの取り組みが【人生に豊かさをもたらす】と記述された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染拡大状況の中で、調査対象者への聞き取り調査が予定通り進められなかったことが、進捗状況に影響を与えた。
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Strategy for Future Research Activity |
サバニ大工やサバニに取り組んでいる愛好者に対するインタビューデータの分析が残されていることから、本年度はこれらに取り組んでいく予定である。具体的には、既に得られたテクストデータを質的に分析することによるストーリーラインを構築する。 加えて、サバニ帆漕レースの主催者を対象とした聞き取り調査を実施予定であり、これまでの取り組みの合わせて、総合的な考察を深めていく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症拡大の影響もあり、沖縄地方での調査に滞りが生じ、研究が計画通りに進まなかった部分があり、研究期間の延長を申し出ることとした。最終年度である今年度は、研究計画を全うできるよう、総括を進める。
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