2018 Fiscal Year Research-status Report
自転車事故防止を目指した高齢自転車利用者の注意制御機能に関する研究
Project/Area Number |
18K10956
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
下田 政博 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80302909)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | マルチタスク / 注意分配 / 自転車 / P300 / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,高齢者における注意制御機能(注意の分配・持続・選択)が自転車運転のパフォーマンスとどのような関係を有しているかを明らかにする. 30年度は,すでに保有していた自転車安全教育用シミュレータに多目的条件提示システムを組み込み,自由度をもたせた実験用自転車走行シミュレーション環境を構築した.安全教育用シミュレータでは,仮想の市街地を走行する環境であったが,研究計画上の理由から他者(人,車両など)及び交通表示・標識を取り除いたうえで,走行路の幅と方向を示すコース表示を加えた.コースは複数用意し,さらに走行路の幅は3種類を選択できるようにした,実験の際,被験者に対しこの走行路からはみ出さないことを指示し,自転車運転の難易度を操作することが可能となった. この自転車走行シミュレーション環境を用い,注意分配機能を評価する予備的実験を実施した.大学生11名を対象に自転車走行課題と聴覚刺激オドボール課題を同時に遂行させ,事象関連電位P300・筋電図反応時間・走行パフォーマンス(走行速度、走行路からのはみ出し時間)を計測した.走行のコース幅(狭い・中間・広い)が各種指標に与える影響を分析し,2019年7月の国際学会(European College of Sport Science, Prague) で結果を発表する予定である. 高齢者については,大学近隣の地域シニアクラブの協力を得て,次年度以降の実験実施に向けて被験者を確保できた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シミュレーション環境の構築に時間がかかったものの,予備的実験を終了した.次年度以降に向けて高齢者の実験協力者(被験者)を確保できた.
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度に実施した予備的実験の結果を取りまとめ,国際学会(European College of Sport Science, Prague)で発表する. 高齢者を対象としたマルチタスク実験を行い,大学生の結果と比較して高齢者の注意分配機能の特徴を明らかにして自転車走行パフォーマンスとの関連を検討する. フランカー課題を用いた実験を行い,選択的注意機能の評価と自転車走行パフォーマンスとの関連を検討する.このため,シミュレーション環境の微調整を行う予定である.
|
Causes of Carryover |
シミュレーション環境の構築に時間がかかり、予備実験について当初より補助者及び被験者数を減らして実施したため,人件費の支出額が少なくなった.次年度以降における実験補助者の増員及び研究遂行に必要な物品購入に充てる予定である.
|
Research Products
(1 results)