2019 Fiscal Year Research-status Report
舌骨上筋群表面筋電位パタン解析を用いた市販食品分類
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18K11033
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Research Institution | Seirei Christopher University |
Principal Investigator |
柴本 勇 聖隷クリストファー大学, リハビリテーション学部, 教授 (30458418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 誠 岩手大学, 理工学部, 准教授 (80404119)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 表面筋電 / 食物物性 / 嚥下 / 舌骨上筋群 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は多チャンネルの舌骨上筋群表面筋電位を用いて、異なる食物物性によって表面筋電位パタンが異なるか否か、またその分類化について検討し、舌骨上筋群の筋活動パタンによって食品分類する研究である。最終的には、舌骨上筋群の筋電位パタンを通じて摂取食品の適正化を図ることを目標としている。 2019年度は、多チャンネル筋電計を用いて舌骨上筋群の活動パタンを異なる物性の食物で計測をした。食品は、クッキー、クラッカー、パン、マシュマロ、グミぜりー、寒天ゼリー、トロミ水、水などを用いた。これらの食品を、硬さ、凝集性、付着性の3つの視点で分類した。また、年齢によって結果が異なるか否かの検討を行う目的で、被験者は20歳代1名、50歳代1名の2名とした。結果については、①食物物性特徴による舌骨上筋群の筋活動の特徴、②舌骨上筋群の筋活動特徴が年齢よって異なるか否か、について検討を行った。食物物性の特徴と舌骨上筋群筋活動については、硬い食物ほど咀嚼開始時の筋活動振幅が高いが、筋活動周期については付着性の値に比例することが理解できた。また、凝集性が高い食物は舌骨上筋群筋活動時の振幅が低いことが理解できた。すなわち、舌骨上筋群の筋活動の振幅が長く持続するのは、食物の硬さよりも付着性が高く凝集性が低い食物物性であることが理解できた。パンやマシュマロについては、咀嚼時も含めて舌骨上筋群の筋活動振幅が常に高く、前方に位置する筋活動が有意に活動する状況であった。年齢による相違は本年度の検討ではなかった。健常者においては、舌骨上筋群の筋活動は食物由来であることが示唆された。 今年度の検討結果から、我々の最終目標である筋活動から食物物性の推定は可能と考えることができた。これら得られた知見をを関連学会等で公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度の目標はコンビニエンスストアで販売中の食物100種類を用いて、被験者10名に実施予定であった。しかし、実際には被験者2名にとどまった。それが「やや遅れている」と判断した理由である。しかし、実績の概要で述べたように、硬さ、凝集性、付着性それぞれのパラメータの食物物性特徴と舌骨上筋群の筋活動特徴を捉え規則性や法則性の情報など、わが国初となる知見を得ることができ研究成果は着実に残すことができている。計測に時間を要すことが理解できたことから、次年度の計測時の対策を立案した。このように、次年度に向けた活動も併せてできていることから、被験者数がやや遅れているものの今後の進展は着実に進められると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、被験者8名の計測をまず行う計画である。その後、2019年度に計測した2名と合わせ10名の結果をデータベース化する計画である。2019年度で筋電パタンの着眼点を捉えていることから、2020年度は食品ごとに食物物性と筋電パタンの分類化をしたうえで、筋電パタン情報から食物物性を推定する方法の検討を行う計画である。筋電パタンから食物物性を推定するにあたっては、データベース化された筋電データを用いて機械学習手法を用いる方法にて行う。最終的には、個々の舌骨上筋群筋活動パタンから食物選択手法の開発を検討する。
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Causes of Carryover |
2019年度は当初10名の被験者でデータ収集を計画していた。実験実施計画と分析方法を再検討したことにより、被験者でのデータ収集がとどまった。加えて、本研究協力者を対象者としたことにより謝金が発生しなかった。これにより、計画額と使用額に差額が生じた。2020年度は、8名のデータ収集、データ分析、筋電パタンから食物物性を推定するシステム開発に係る費用を使用する計画である。また、研究成果を関連学会で公表する費用も使用する計画である。
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