2020 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular analysis of preventive effects of coffee constituents on life-style-related diseases via protein degradations.
Project/Area Number |
18K11109
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田村 悦臣 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 名誉教授 (50201629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多胡 めぐみ 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 教授 (30445192)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 生活習慣病 / コーヒー / 認知症 / BACE1 / 乳がん / tamoxifen |
Outline of Annual Research Achievements |
コーヒーの習慣的喫飲が様々な生活習慣病を予防する効果があることが疫学研究等で示されているが、その分子メカニズムについては不明な点が多い。我々は、コーヒーの認知症予防効果について研究を行い、これまでに、コーヒーの焙煎成分ピロカテコールがAβの生成に関わるβ-secretase(BACE1)の分解促進することによりAβの生成を抑制することを明らかにし、また60%(v/v)コーヒーを7週間自由飲水させたマウスの海馬において、BACE1量が有意に低下していることを見出した。本年度は、このマウスの海馬におけるAβ量および記憶学習能を解析した。その結果、コーヒー摂取群ではAβ量は有意に減少し、また、記憶学習能は改善傾向が認められた。この結果は、コーヒーの習慣的摂取が認知症の予防や発症遅延に効果があることを示唆する。さらに、デカフェコーヒーおよびピロカテコールの21週間長期摂取の効果を見たところ、海馬内のAβ量の低下および学習能の向上が観察された。一方、コーヒー摂取群では有意差のある変化は見られなかった。カフェインの影響について、今後検討していく必要がある。 一方、コーヒーの習慣的な飲用が乳がんの治療効果を改善することが報告されている(Simonsson et al., 2013)。我々は、コーヒー豆抽出液が乳がん治療薬であるTamoxifenの抗腫瘍活性を増強するかどうかを分子レベルで解析した。その結果、コーヒー豆抽出液は、Tamoxifenとの共添加により、がん抑制遺伝子産物p53の活性化を誘導し、乳がん細胞MCF-7のアポトーシスを誘導することを明らかにした。この研究では、Tamoxifenのアポトーシス誘導にはカフェインに加え焙煎成分が必要であることを明らかにした。今後、有効な焙煎成分の同定が必要であり、それを活用したTamoxifen治療の奏効率向上が期待できる。
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Research Products
(3 results)