2019 Fiscal Year Research-status Report
The influence of brain-gut correlation system disturbance on the small intestinal villus morphology and the specific function of small intestinal epithelial cells.
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18K11123
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
鈴木 拓史 山形大学, 農学部, 准教授 (50587110)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 脳腸相関 / 自律神経経路 / 小腸機能 / 消化・吸収機能 / 腸管バリア機能 / 小腸絨毛形態 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、小腸機能維持システムに対する交感神経経路の関与についての再解析と求心性自律神経経路の関与についての解析を進めた。まず、交感神経経路を遮断する薬剤3種類をそれぞれ10週齢のICR系統の雄性マウスに対して皮下から浸透圧ポンプを用いて10日間持続投与した。投与期間終了時に解剖し、小腸組織を採取後、組織切片を用いた小腸絨毛形態の観察と小腸上皮細胞機能に関連する代表的な分子について遺伝子発現解析を行った。その結果、交感神経経路のうち、a受容体を介した経路が小腸の絨毛形態や栄養素の消化吸収能に影響を与え、小腸上皮細胞の分化や成熟化ならびに糖質の消化吸収能を維持するためにはa1受容体を介した刺激が重要であることが示唆された。次に、求心性神経経路を遮断した際の影響を解析するために、10週齢ICR系統マウスに対して、全身カプサイシン処置により求心性神経経路を遮断したモデルを作製した。遮断確認後、摂餌量を一定として、1週間、および3週間飼育し、小腸絨毛形態および栄養素の消化・吸収能に対する短期および中期的な影響を解析した。短期的な影響として、絨毛形態の指標であるDAO活性が有意に減少し、小腸粘膜に発現するGLP-2受容体などの遺伝子発現レベルも顕著に減少した。一方、栄養素の消化・吸収に関連する分子の遺伝子発現レベルに差はみられなかった。中期的な影響として、IGF経路に関連する遺伝子の発現レベルが軒並み減少したが、栄養素の消化・吸収関連分子の遺伝子発現レベルに顕著な差はみられなかった。これらの結果より、求心性経路の遮断は、とくに空腸において成長ホルモンのシグナル伝達経路に影響を与えるが、栄養素の消化・吸収能は遮断の影響を受けることなく維持されることが示唆された。以上の研究について、次年度以降に未解析項目の解析を進めると共に、最終的な結論を見出したうえで、論文として発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度中に実施すべき研究内容は滞りなく実施できた。しかし、未解析の項目が残されているため、次年度以降へと持ち越すこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
該当年度では、遠心性自律神経経路と求心性自律神経経路の両経路に着目し、それぞれがどのように小腸機能の維持に関与しているかについて、その一部を明らかにすることができた。したがって、次年度以降は、未解析の項目についての解析を進め、小腸機能の維持に対する自律神経経路の役割とそれに対するそれぞれの神経経路の優先性について、説明根拠となり得るデータを取得できるように研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
【次年度使用額が生じた理由】 当該年度は、予定通りに使用したが、一部の物品費および人件費・謝金分が次年度へと持ち越されることとなった。 【使用計画】 次年度中に英語論文を速やかに執筆し、その英文校閲費用ならびに投稿・掲載費用として使用する。
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