2018 Fiscal Year Research-status Report
迅速な安全確保行動の誘発を促す災害・避難情報のビジュアル化とパーソナル化
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18K11553
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
内田 理 東海大学, 情報理工学部, 教授 (50329306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇津 圭祐 東海大学, 情報通信学部, 准教授 (80631796)
田島 祥 東海大学, 現代教養センター, 准教授 (60589480)
梶田 佳孝 東海大学, 工学部, 教授 (30284532)
山本 義郎 東海大学, 理学部, 教授 (80301943)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 災害情報 / 避難情報 / SNS / ビジュアル化 / パーソナル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
自然災害による被害の発生が予見される際には、対象地域の住民に避難勧告や避難指示などの避難情報が発令される。しかし避難情報が発令されても避難など安全確保のための行動を行わない住民も多く、犠牲者の出るケースが後を絶たない。そこで本研究では、迅速な安全確保行動の誘発を促す災害・避難情報のビジュアル化とパーソナル化について検討を行う。平成30年度は、災害・避難情報のビジュアル化に関して、以下の観点から基礎的な検討を行った。 ①災害時のSNS情報の分析:災害時(「平成30年大阪北部地震」「平成30年7月豪雨」「平成30年台風第21号」)にTwitterに投稿された情報の分析を行った。特に、「絵文字」「ハッシュタグ」に注目して分析を行ったほか、共起ネットワークによる注目キーワードの可視化や気象情報(降水量や台風の位置)と共起ネットワークを同時に描画するシステムのプロトタイプを実装した。 ②災害情報をビジュアル化して提供するシステムのプロトタイプの実装:ユーザの現在地に基づいて発表されている避難情報や警報・注意報、浸水想定区域などをわかりやすく提示し、避難を促すスマートフォン向けアプリケーションのプロトタイプを実装した。 ③Twitterをベースとしたリアルタイム災害情報共有システムの開発:迅速な安全確保行動を誘発するためのシステム開発の一環として、住民同士がリアルタイムに災害関連情報を投稿・共有できるシステムを開発した。本システムはTwitterをベースとしており、投稿された情報はリアルタイムに地図上にプロットされる。 以上①~③の研究成果に関しては、学会発表によって世間に広く公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SNS情報の分析や可視化、災害情報・避難情報のビジュアル化とそれを提供するシステムのプロトタイプ、Twitterをベースとしたリアルタイム情報共有システムの開発は当初の想定以上の成果を挙げることができた。一方で、実施計画にあった社会システム工学や心理学の観点からのビジュアル化に関する検討については成果を挙げることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
①災害・避難情報のパーソナル化に関する検討(零話元年度):避難情報の内容は属性(年齢、避難行動要支援者が家族に含まれるか否か等)や現在地(自宅か外出先か、河川や崖、海岸のそばにいるのか否かなど)に応じて変化させるべきである。例えば、大雨降雨時かつ洪水が想定される際の安全確保行動は、避難行動要支援者や高齢者の場合は避難所への避難よりも自宅二階等への垂直避難の方が適切である場合も想定される。そこで、属性情報や現在の状況に基づいて災害・避難情報をパーソナル化する方法について検討する。パーソナル化の方針策定に当たっては、自然災害による被害の発生が想定される地域の住民を対象としたアンケート調査(郵送、インターネット回答)や自治体への聞き取り調査などを実施し、その分析結果を参考にすることとする。 ②災害・避難情報配信システムの構築(令和2年度前半):リアルタイムに災害・避難情報をビジュアル化・パーソナル化する方法を検討し、スマートフォンやスマートウォッチなどのモバイル端末に配信するシステムを実装する。実装に当たっては、ユーザの利用端末に応じて最適化されたコンテンツを自動生成する方法を検討する。また、チャットボットの活用などについても併せて検討する。 ③大学近隣自治体との連携による一般住民参加型実証実験の実施(令和2年度後半):大学COC 事業で東海大学と連携関係にあった自治体(神奈川県平塚市、秦野市、伊勢原市、東京都港区など)の協力のもと、一般住民を動員した実証実験を実施し、提案システムの有用性の検証を行う。
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Causes of Carryover |
研究成果のジャーナル投稿が年度内に間に合わなかったため、未使用額を次年度のジャーナル投稿掲載料や英文校正料に充てる予定である。
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