2020 Fiscal Year Annual Research Report
Reconstruction of surface ocean environments for last 1.5 ka using coral annual bads collected from Sekisei Lagoon
Project/Area Number |
18K11619
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
阿部 理 名古屋大学, 環境学研究科, 助教 (00293720)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | サンゴ年輪 / 中世気候異常期 / 古海洋 / 水温復元 / 塩分復元 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに完了した、琉球列島南西部に位置する石垣島近海の2つの、いずれも中世のほぼ同時期に生息した長尺サンゴ年輪試料の同位体比および金属濃度比から得られた水温と塩分の長期変化を、現在と比較するために、2018年に同海域で採取した現生サンゴ年輪試料の同位体比および金属濃度比を1995年までさかのぼって分析した。Sr/Ca比については現地観測水温を用いて水温換算式を作成した。また、酸素同位体比と現地観測水温から海水の酸素同位体比を復元し、1997~2004年まで実施していた、海水の酸素同位体比と塩分の連続観測結果と比較した。比較に際し、年輪データを時系列変換するための方法として動的時間伸縮法(DTW法)を新たに導入した。従来は、夏季と冬季の水温極値を水温指標であるSr/Ca比の極値と対応させ、極値間は等分配する方法が一般に用いられているが、成長速度が年間を通して一定、の仮定を必要としており、成長速度が季節変化すると、極値間のサンゴ記録が現実の成長時点とずれる。世界のサンゴ礁のうち、最も高緯度に生息する琉球列島では、実際に塊状ハマサンゴの成長に季節変化があることが確認されていることから、一定成長の仮定を必要としないDTW法を適用した。 時系列変化を行った酸素同位体比から復元された海水の酸素同位体比は、観測結果とよく一致していた。DTW法はサンゴ年輪のような、連続的かつおおよそ一定速度で堆積するプロキシーデータに対して特に優れた手法であることを確認することができた。
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Research Products
(1 results)