2022 Fiscal Year Research-status Report
Analyses of selective cytotoxicity of the anti-diabetic biguanide drug, Metformin, in solid tumor specific microenvironment
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18K11640
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
田野 恵三 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 客員研究員 (00183468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増永 慎一郎 大阪公立大学, 研究推進機構, 客員研究員 (80238914)
川西 優喜 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 教授 (70332963)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | DNA損傷修復 / 細胞内微細環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
アザシチジンにより誘発されるDnmt1-DNAトラップ(Dnmt1-DPCs)の修復機構について、ヒトTK6のSPRTN欠損細胞を用いた解析は完了した。成果をChem. Res. Toxicol.に投稿し、既に受理・発表されている。得られた結果は以下の通りである。1)野生株と比してSPRTN欠損細胞は、アザシチジンに対して高感受性であること、アザシチジン誘発性Dnmt1-DPCsの除去が有意に遅れることを明らかにし、SPRTNがDnmt1-DPCsの除去に直接関与することを示した。2)SPRTN欠損細胞でアザシチジン処理とプロテアソーム阻害剤処理とを同時に行った結果、Dnmt1-DPCsの除去には、SPRTNのみならずプロテアソーム依存的な分解経路が存在することが分かった。さらに、これがSPRTN経路とは別の独立した経路としてDnmt1-DPCs除去に働くことを定量的に示した。3)TDP1、TDP2の単独欠損、及び二重欠損のヒトTK6細胞を用いてDnmt1-DPCsの直接定量を行った結果、TDP1とTDP2もDnmt1-DPCsの除去に相加的に関与することを実証した。この経路もSPRTN経路とは独立して働くことを併せて示した。4)Dnmt1-DPCsの蓄積による遺伝子自体の損傷について、直接の指標となる染色体断裂誘発頻度により継続的に検証すると同時に、微小核形成頻度のデータを付加した。最終的には、アザシチジン処理細胞の染色体断裂頻度・微小核形成頻度・細胞死・DNMT1-DPCs修復遅延度は、SPRTN欠損株>TDP1・TDP2の二重欠損株>TDP2欠損株=TDP1欠損株=Wild株の順である。これらはほぼ相関性があり、Dnmt1-DPCsの蓄積がDNA損傷としてDNA複製を阻害し最終的に染色体断裂を誘発したことが示され、細胞死の原因となることを定量的に実証できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で述べたとおり、アザシチジンによるDnmt1-DPCs修復経路の解析は当初の予定どおり完成できた。染色体断裂頻度の解析をルーチン化できたことに加えて微小核解析も導入することができた。これにより、染色体の分配異常に関する解析を取り入れることができ、DNA損傷誘発をより明確に裏付けるデータを集積することができた。これらの経験を基に、当研究課題の最終目標である、無グルコース細胞下で特異的にDNA損傷を誘発するBiguanide薬剤のMetformin及びphenforminについて、損傷修復過程の解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、Metformin、phenformin共に、ヒトTK6細胞を用いた解析において、1)SPRTN欠損細胞、FANCD2欠損細胞及びTDP1・TDP2二重欠損細胞で無グルコース培養特異的な感受性を確認している。2)これら細胞群の感受性下での染色体解析と微小核解析を進めている。3)1)及び2)の解析が完了すれば、薬剤処理細胞から直接DNA精製を行い、FITCラベルあるいはDNMT1、TOPOs DNMT抗体を用いた解析を行う。腫瘍細胞特異的環境の一つである低栄養下のモデルとして無グルコース下でのBiguanide薬剤のDNA損傷誘発とその修復機構を解明する一助になると期待している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染防御対策に伴う実験中止や計画の練り直し等の影響が出たBiguanide系薬剤誘発性DNA損傷経路の解析は遅延せざるを得なかった。一方で、Dnmt1-DPCs損傷修復機構に関する研究計画内容は無事完成することができ、上述の解析経験を積むことができた。延長期間中の技術的蓄積を基に、無グルコース下特異的にDNA損傷を誘発するMetformin等による損傷の修復機構を解析し、最終年度で当研究課題での最終目標を達成できると確信している。
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Research Products
(1 results)