2020 Fiscal Year Research-status Report
量子化学/分子動力学計算によるDNA損傷の分子解離確率論的計算モデルの構築
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18K11650
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyama College |
Principal Investigator |
阿蘇 司 富山高等専門学校, その他部局等, 教授 (30290737)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 正憲 富山大学, 学術研究部理学系, 准教授 (00334714)
藤原 進 京都工芸繊維大学, 材料化学系, 教授 (30280598)
平野 祥之 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 准教授 (00423129)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | モンテカルロ法 / Geant4-DNA / DNA損傷 / トリチウム / 分子動力学計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、量子化学・分子動力学計算による知見を組み込んだDNA損傷の確率的計算モデル開発を目的としている。今年度は、(1)開発シミュレーションソフトウェアでの間接作用の影響を評価するためのラジカル発生と、その拡散・再結合相互作用の評価、(2)空間クラスタリング法を用いたDNA損傷の確率モデル検証、(3) 分子動力学計算を用いたDNA分子置換に起因する分子構造変化の影響評価、(4)ガンマ線照射による重水中DNA分子の水素置換評価実験を解析するための量子科学計算の導入を実施した。以下に概要を示す。 (1) 間接作用では、ラジカル発生からその拡散・再結合を追跡して時間的な空間分布を計算してDNA分子の空間形状との対応によりDNA損傷の有無を判断する。計算アルゴリズムは試作したが、計算時間が長く精密な計算を行うことが容易ではないことがわかった。現在、文献調査等を通じてアルゴリズムの改良に着手している。 (2) 空間スラスタリング法を利用して、直接作用と間接作用の両方を考慮したDNA損傷が評価できる状況にある。このソフトウェアを用いて、多様な条件でのシミュレーションを行なっている。また、(1)のシミュレーション開発のアルゴリズム改良に際しての参考に用いている。 (3) DNA分子置換が生じた後に、DNA損傷に至る過程を分子動力学計算で評価を行なっている。また、トリチウム水の水分子がDNA分子構造にアクセスする様子を調べるために、水分子とDNA分子構造を入力した分子動力学計算によって、確率的なアクセス頻度を計算できる状況となっている。 (4) 重水へのガンマ線照射により、DNA分子構造の水素が重水素に置換する可能性を調査している。ガンマ線照射実験で得られた赤外線吸収スペクトルを量子化学計算により解析して、置換反応の有無を評価している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多様な計算方法を取り入れつつ、測定実験の試みも取り入れながら全体的な研究活動が進められている。コロナ禍の影響で、研究組織の議論や学会発表等による外部の意見を取り入れる機会が減少してしまったため、研究のまとめと総括の観点では進展が滞ったところがある。しかしながら、各担当の研究者によるそれぞれの研究結果が得られており、研究課題の進捗状況は、概ね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果を取りまとめて、研究の総括を行うとともに、最終的な成果実績として学会発表等を行なっていく予定である。また、本研究課題の成果を基盤にした、新たな研究課題の発掘と展開に関する議論を開始しており、本研究課題のまとめとともに、更に次の研究課題設定への発展的成果に結びつけることができるように研究総括を行う予定である。
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Causes of Carryover |
令和2年度は、新型コロナ感染症の影響により、当初予定していた国際学会、国内学会及び研究分担者との会合が中止またはリモート開催となったため出張旅費が未執行となった。次年度についても、依然として発表を予定している国際学会はリモート開催となることが決まっている。一方で、シミュレーションの円滑実行と評価のためには、計算資源や実験のための消耗品の追加が必要である。そのため、国内学会や研究分担者間の国内旅費を最低限確保しながら、計算機や消耗品等の物品費に充当して、研究を円滑かつ効率的に進めるために使用する予定である。
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Research Products
(1 results)