2018 Fiscal Year Research-status Report
Estimation of Energy Saving Potential and Quantitative Analysis of Drivers and Barriers of Energy Conservation in Small and Medium Sized Business Establishments
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18K11771
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Research Institute for Environmental Protection |
Principal Investigator |
片野 博明 公益財団法人東京都環境公社(東京都環境科学研究所), 次世代エネルギー研究科, 研究員(移行) (60792611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 康平 公益財団法人東京都環境公社(東京都環境科学研究所), 次世代エネルギー研究科, 研究員(移行) (10782716)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 中小規模事業所 / 省エネポテンシャル / 省エネバリア / エネルギー消費原単位 |
Outline of Annual Research Achievements |
・平成30年度(初年度)の研究目標は、「事業所の用途区分ごとの省エネポテンシャル(省エネ対策を実施することで削減可能なエネルギー量)を把握すること」及び「省エネ対策の阻害要因を抽出し、特徴ごとに分類を行うこと」である。 ・目標を達成するために、都内中小規模事業所のエネルギーデータ(地球温暖化対策報告書及び省エネ診断報告書)の分析、中小規模事業所へのヒアリング及び先行研究調査を実施した。 ・地球温暖化対策報告書の分析では、事業所の用途区分が同一であっても、事業所ごとにエネルギー消費原単位(単位床面積あたりのエネルギー消費量)に大きな差異があることが分かった。そこで、事業所の用途区分ごとのエネルギー消費原単位の中央値を基準とし、中央値を上回っている事業所が中央値まで省エネした場合に削減できるエネルギー消費量の合計値を、省エネポテンシャルとして算出した。その場合、省エネポテンシャルは現状のエネルギー消費量の10%~20%と推計された。 ・省エネ診断報告書の分析では、省エネ診断の受診事業者における運用改善効果と投資回収年数が5年以内の設備改善効果を合計すると、8%前後の省エネポテンシャルが存在すると推計された。このことから、経済的にメリットのある省エネ対策でも、実施を妨げる要因(省エネバリア)が存在していることが示唆される。また、投資回収年数が5年を超える省エネ対策にも同程度の省エネポテンシャルが存在することが示された。 ・中小規模事業所へのヒアリング及び先行研究調査により、具体的な省エネバリアを抽出し、理論的な枠組みに基づき分類した。省エネ優良事業所へのヒアリング調査では、「情報不足」や「取引費用」等の省エネバリアを乗り越える仕組みが構築されていることを確認できた。このことから、省エネバリアを特定し、適切な仕組みを導入すれば、省エネが進展する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・平成30年度(初年度)に実施予定であった、都内中小規模事業所のエネルギーデータの分析、中小規模事業所へのヒアリングの実施、先行研究調査について、「研究実績の概要」に示したとおり、概ねスケジュール通りに進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
・今後の主な研究内容は、省エネ対策を実施する上での省エネバリアの影響度分析、省エネ対策の支援方法の検討である。これらの実施に向け、令和元年度(2年目)は都内中小規模事業所を対象にアンケートを実施する。 ・アンケートは、平成30年度(初年度)の研究実績に基づき、省エネポテンシャルが大きい用途区分に対象を限定して実施する予定である。対象を限定することで、事業所の用途区分ごとのアンケート回収数を高め、より信頼性の高い研究結果が得られるようにする。 ・アンケート内容については、「現時点で実施している省エネ対策」「省エネ対策の実施を阻害する要因とその影響度」等が把握できるような質問票を、選択式・記述式の両面から作成する。また、本調査前に事業所に対しアンケート内容に関するヒアリング調査等の予備調査を実施することで事業所の負担を減らし、回収率を高めると共に、適切な回答が得られるよう、質問内容を調整する。 ・研究を進める上で、東京都環境局、東京都地球温暖化防止活動推進センター(クール・ネット東京)とも定期的に連絡会を開催して連携を強化し、研究を妨げる課題が生じた場合は、速やかに解決できるように努める。
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Research Products
(1 results)