2021 Fiscal Year Research-status Report
市場開放下の韓国における農村社会の再編:トルニョク経営体の展開に関する実証的研究
Project/Area Number |
18K11816
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
深川 博史 九州大学, 経済学研究院, 教授 (30199153)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高安 雄一 大東文化大学, 経済学部, 教授 (20463820)
水野 敦子 九州大学, 経済学研究院, 准教授 (10647358)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 韓国 / 農村社会 / トルニョク / 協働 / 土地利用 |
Outline of Annual Research Achievements |
3年度目までの研究では、トルニョク経営体の現状が当初構想と異なることが明らかとなった。この3年度目の研究成果を基礎に、4年度目は、トルニョク経営体の現状が当初構想と異なる原因について、その社会的背景を探る予定であった。そのために、現地の研究協力者からアドバイスを受けながら、トルニョク経営体の社会経済的背景について、調査を進める予定であったが、Covid-19の感染拡大が続いたことにより、韓国への渡航が困難となり、調査を実施できなかった。 実態調査困難な中で研究を進めるために、現地の研究協力者を通じてトルニョク経営体に関する文献情報や先行研究について収集を進めた。また、オンラインで現地の研究協力者と討論を行い、トルニョク経営体の現状の背景について情報を収集した。これらの作業により、最新の研究をカバーし、トルニョク経営体の現状の背景について、ある程度、把握することができた。 トルニョク経営体は、小農の大農経営への参加により農村社会の協働関係構築を目指すものであったが、大小農間の営農受委託がすでに拡大しており、その関係は一定の均衡状態にあった。そのため、トルニョク経営体による大小農間の協働は進展の余地が限られ、結果的に、トルニョク経営体の役割が低下したと推察された。このような仮説について、関係する研究者との議論などから確認できたことが、本年度の成果であった。ただ、最終年度に、調査による現状把握ができなかったために、仮設証明のための十分なデータを確保できなかった。 そのような事情から、本研究課題は期間を1年延長して、調査研究を推進することとした。延長年度の2022年については、Covid-19の状況を見ながら、調査研究を進め成果をとりまとめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、文献調査と、専門研究者とのオンライン討論により研究を進めた。文献調査では、トルニョク経営体の研究文献や農業統計を収集した。また、海外研究協力者の東国大学校の黄在顕教授および全北大学校の趙佳鈺教授との間で、オンラインによる研究情報交換及び討論を行った。それらの文献調査及び討論の成果を、英文の論文にまとめた。 本年度の課題は、トルニョク経営体の構想と現状の相違について、その背景を探ることであった。オンラインの討議を通じて、トルニョク経営体が、一部の生産と流通・加工に留まり、農地の共同利用には到達していないこと、依然として、大経営中心であることを確認できた。さらに、Covid-19の感染拡大のトルニョク経営体への影響が、新たな検討課題となっている。これらについては、実態調査による確認が必要であるが、引き続き、訪韓調査が困難な状況にあることから、研究は、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
延長年度の課題は、トルニョク経営体の、当初構想と現状との相違点の背景について、引き続き調査と分析を進めることである。Covid-19の状況が沈静化すれば、トルニョク経営体の最新の状況について、現地調査を行い、その分析結果を取りまとめる予定である。また、現地調査が困難な場合には、トルニョク経営体への農村住民の参加状況について、文献調査及び、オンライン・インタビューにより資料を収集し、研究分担者及び、海外研究協力者との討論を経て、研究論文にまとめて発表する計画である。
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Causes of Carryover |
2021年度は、研究分担者とともに、トルニョク経営体の農村調査を実施する計画であったが、Covid-19感染拡大の影響により、訪韓調査が実施困難になり、海外調査に計上していた旅費などが残った。2022年度は、Covid-19の収束状況を見ながら年度後半に現地調査を行い、収集データの分析を進める予定である。
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Research Products
(1 results)