2019 Fiscal Year Research-status Report
A Study on the Glocalization of the Drum Dance Eisaa and Tourism Practices Inside and Outside Okinawa
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18K11859
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Research Institution | Chikushi Jogakuen University |
Principal Investigator |
森田 真也 筑紫女学園大学, 文学部, 教授 (10412686)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城田 愛 大分県立芸術文化短期大学, その他部局等, 准教授 (80425389)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 民俗芸能 / 観光 / 地域振興 / イベント / グローカル化 / 沖縄 / エイサー |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目の重点課題は、観光イベントの実施状況と課題を抽出すること、さらには民俗芸能のグローバル化について、沖縄から移民の地であるハワイにおけるエイサーの展開・活動とイベントについて、ハワイ社会との関わりについての現地調査を行ない、その実態把握をすることにあった。森田が主として観光イベントの実態と課題についての整理を行ない、城田が主として創作エイサー団体である「琉球国祭り太鼓」のこれまでの活動、ハワイでの展開についての整理をした。そして、観光地である沖縄との比較検討を行なうために、沖縄系移民の多いハワイで9月(8月)に開催される「オキナワン・フェスティバル」(アメリカ)のフィールドワーク(参与観察、インタビュー調査)を共同で行なった。 2年目の調査研究において、イベントにおける民俗芸能の演舞がハワイ内の沖縄系移民のネットワーク形成と維持、エスニシティを喚起するのに寄与していること。そして民俗芸能エイサーが沖縄系移民のアイデンティティを内外共に示す存在となっていること、沖縄からの参加もあり、沖縄系移民が自己のルーツとのつながりを再確認する場になっていることがわかった。さらに、外部からの観光客を呼ぶのに大きく役立っているとはいえないが、地域に根付いた大きなイベントとしてハワイ社会のなかで認知されていること、会場が2018年にハワイ・コンベンション・センターに変わったことで、「自己ツーリスト化」とでもいうような現象が生じ、多くの人々に楽しまれていることがわかった。また、パフォーマンスについては、単なる移民先への民俗芸能の移動だけでなく、フラの要素を取り入れたり、現代的演出がなされていることもわかった。 以上、地域を超えて拡大するエイサーの人々の意識への関与、社会的影響、シンボル化について、さらには新しいエイサー団体のパフォーマンスの特性、イベントでの役割についてがあきらかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目は、デスクワークとして、代表者は観光イベントの実施状況と課題の抽出を試みた。分担者はハワイにおける新しいエイサー団体のこれまでの活動、パフォーマンスの特性について分析を行なった。そして、沖縄系移民の多いハワイにおける「オキナワン・フェスティバル」(アメリカ)等の参与観察、関係者ヘのインタビュー調査により、地域を超えて拡大するエイサーの人々の意識への関与、社会的影響、シンボル化等についてみていった。ハワイにおける、聞取り調査、演舞の参与観察等、順調に調査は進んだと考える。 なお、2020年2、3月に予定していた沖縄現地調査が、新型コロナウイルスの影響によって中止を余儀なくされた。そのため、当初予定していた新興の創作エイサー団体の活動と観光の関わりについての調査、エイサーの母体である青年会の活動の調査の断念を余儀なくされた。次年度、現地調査が出来る状況になれば実施したい。2年目に行なう予定であった、自治体、各団体他へのインタビューを、1年目に一部先行して行なえていたのは幸運であったと考える。 以上のことから、研究計画の遂行に関しては、現時点では新型コロナウイルスという外在的要因による留保と不安材料はあるが、「おおむね順調に進展している」と評価出来る。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(3年目)については、上記課題の研究を継続しながら、デスクワークとして民俗芸能の観光イベント活用の可能性について考察を進める。そして代表者は、沖縄県、コンベンションビューロー等経済関係団体、観光会社とエイサーの具体的活用、マスメディアとの関わりについての調査研究を行なう。分担者は「琉球国祭り太鼓」等の新しいエイサー団体の活動、拡大とネットワークの調査研究を行ないたい。 なお、新型コロナウイルスの今後の動向次第では、調査計画の変更の可能性もある。当初、新しい創作エイサー団体中心の「世界エイサー大会」(浦添市)、ハワイ沖縄連合会主催の「秋の(オキナワ)ダンス・マツリ」(アメリカ)の現地調査を計画していた。しかし、新型コロナウイルスの影響で移動や現地調査が困難なことが予想される。 そのため、民俗芸能の拡大とイベントの実施状況を踏まえて、民俗芸能のグローカル化、持続可能な観光への寄与の課題と可能性について、これまで得た資料を中心にして研究を進めることも視野に入れておきたい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、冬季に予定していた沖縄現地調査が、新型コロナウイルスの影響で中止を余儀なくされたことによる。2020年度、状況が改善されず、現地調査が不可能となれば、デスクワークへの研究計画の一部変更も視野に入れる必要があると思われる。
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Research Products
(3 results)