2021 Fiscal Year Research-status Report
A Study on the Glocalization of the Drum Dance Eisaa and Tourism Practices Inside and Outside Okinawa
Project/Area Number |
18K11859
|
Research Institution | Chikushi Jogakuen University |
Principal Investigator |
森田 真也 筑紫女学園大学, 文学部, 教授 (10412686)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城田 愛 大分県立芸術文化短期大学, その他部局等, 准教授 (80425389)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 民俗芸能 / 観光 / 地域振興 / グローカル化 / 沖縄 / ハワイ / エイサー / フラ |
Outline of Annual Research Achievements |
4年目、当初の重点課題は、3年目同様、民俗芸能と観光イベントの関わりについて現地調査を行ない、考察を行なうことであった。そのため、沖縄とハワイにおける調査を計画していた。しかし、昨年度に続き、新型コロナウイルスの影響によって、現地調査の中止を余儀なくされた。 現地調査が不可能であることから、一部研究計画を修正し、デスクワークを進めた。そして、本科研の研究成果公開のための学術出版助成を筑紫女学園大学に申請し、獲得することが出来た。これまで現地調査で得た資料の整理、文献による研究を進め、新たな論考の執筆、既発表の論考の加筆・改編・修正を行ない、出版用入稿原稿の作成を行なった。 同書においては、沖縄のエイサーとハワイのフラのパフォーマンスの現場から、様々な「隔たり」と「繋がり」の社会的状況に着目し、文化の創造と人々のアイデンティティ生成のダイナミズムを考察することを試みた。そのため、従来パフォーマンスが演じられてきた場だけでなく、近代化によって生じた観光、イベント、米軍基地、刑務所等で演じられる事例を視野に入れた。そして、これまで地域社会の伝統文化として捉えられてきた民俗芸能を、観光化、基地、先住民運動等、近代以降の社会変化といった視点で分析することを試みた。さらに、民俗芸能をグローバル化だけでなく、同時に進む再ローカル化という、地域社会の人々の実践や意識を視野に入れた分析を行なった。 以上、現地の人々の主体的表象を評価し、パフォーマンスが生み出す創発的連帯、そして社会変化という外在的要因だけでなく、演者たちの集合的意識と自立的実践から、当該社会におけるアイデンティティと文化的シンボルの生成過程と運用状況があきらかになった。 別途、基礎研究として、戦前の沖縄観光の萌芽と特質、伝統工芸と民俗芸能の関わりについて、ガイドブックや文献資料等を用いた考察を進め、論文として執筆中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4年目は、主に民俗芸能のグローカル化について比較検討し、民俗芸能と観光の関わり、アイデンティティの関係について研究を進めた。 2021年度も2020年度に続き、当初予定していた沖縄現地調査が、新型コロナウイルスの影響によって中止を余儀なくされた。そのため、コンベンションビューロー等経済関連団体、新興の創作エイサー団体と青年会の活動と観光の関わりについての調査、同様にハワイでの調査も中止した。 以上のことから、2021年度は、一部、研究計画を修正し、筑紫女学園大学の学術出版助成を獲得し、現地調査で得た資料の整理、これまでの研究を整理することで、本科研の研究成果の出版公開のためのデスクワークを進めた。次年度、現地調査が出来る状況になれば一部でも実施したいが、それが不可能な場合も含めて、デスクワークによる研究を継続したい。 研究計画の遂行に関しては、現時点では新型コロナウイルスという外在的要因による現地調査の中断、予定の変更はあるが、研究成果を出版するための学術出版助成を獲得し、出版のための資料整理、新たな論考の執筆、既発表の論考の加筆・改編・修正を行なうことが出来たため、「おおむね順調に進展している」と評価することが出来る。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度(5年目)については、当初予定していた研究期間(3年間)からの2年延長となる。新型コロナウイルスの影響が少なくなれば、コンベンションビューロー等経済関連団体、観光会社と民俗芸能の具体的活用、マスメディアとの関わりについての沖縄での現地調査を行ないたい。 しかしながら、2022年度も新型コロナウイルスの多大な影響が予想される。そのため、デスクワークとして、研究成果の出版公開に向けて、原稿の加筆、編集、推敲を継続し、近日中に出版したい。 そして、別途、基礎的研究として、戦後の沖縄観光の展開と特質について、ガイドブックや文献資料を用いた考察を進め、論文としてまとめたい。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、予定していた沖縄・ハワイ現地調査が、前年度同様に新型コロナウイルスの影響で中止を余儀なくされたことによる。デスクワークを中心に研究を進めたため、当初予定していた旅費(飛行機代、宿泊費)が残る結果となった。現地調査が困難であったことから、調査旅費を資料や文献の購入費に振り替える形で研究を進めた。今後も現地調査が困難な場合、当初予定していた経費を資料や文献の購入費に充てたいと考えている。あわせて、研究分担者の諸事情により、次年度使用額が生じた。
|
Research Products
(1 results)