2019 Fiscal Year Research-status Report
Optimum route derivation for the wheelchair sightseeing utilizing sensor data and deep learning
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18K11890
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Research Institution | Tomakomai National College of Technology |
Principal Investigator |
大橋 智志 苫小牧工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (40509923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩野谷 明 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (50187332)
原田 恵雨 苫小牧工業高等専門学校, 創造工学科, 助教 (70634905)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 車いす / バリアフリー / 路面 / 観光経路 / 振動特性 / 最適経路導出 / 位置情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢や障がい者等の有無に関係なく気軽に国内の観光地へ旅行することを実現するため,政府は2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会(2021年度開催に延期が決定)を契機に,観光地や交通機関において,より高い水準のユニバーサルデザイン化とこころのバリアフリーを推進している.本研究では,車いすに設置した各種センサによる計測データ解析により,車いすを必要とする国内外の高齢者や障がい者に対する最適な観光経路を導く方法を確立させることを目的としている. 前年度はGPS,加速度センサ,ジャイロセンサが搭載されている車いす専用の計測ボードを使用し,アスファルト舗装およびインターロッキング舗装を車いすが走行した際の計測データに対する周波数特性と走行路面の振動特性から路面の識別を試みた.これらの結果に基づき,センサデータの解析からアスファルト舗装およびインターロッキング舗装の同定が可能なことを確認した.また,屋外走行時の最適経路を評価するためには,車いすが歩道を走行する状況において,歩道と車道との境界を通過する時の段差や勾配を検出し,走行がどの程度困難となるかを把握する必要がある. 今年度は,車いすの走行状態および路面状況を監視し,歩道と車道との境界となる勾配および段差の評価に取り組んだ.歩道の勾配5[deg]の侵入時には最大で約7[deg],勾配10[deg]の侵入時では最大で約20[deg]となった.一方,歩道から車道へ侵入した下り方向の勾配の場合は,車いすの傾きが2倍以上となることを確認した.また,試作マイコンボードによるGPSの位置情報精度では,実際の走行ラインよりも2~5[m]の誤差が生じており,高精度な位置情報の取得が必要であることを確認した.高精度な位置情報取得のため,RTK-GPSモジュールを導入し,この問題を解決する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は実証実験の結果に対し,深層学習アルゴリズムを適用した観光経路の舗装状況分析と車いす走行に適した最適経路導出に取り組むことである.今年度の研究成果より,歩道と車道との境界における勾配および段差状況をセンサデータから解析することができた.解析結果により,歩道から車道への侵入,車道から歩道への侵入における走行時の負荷についても評価が必要となった.そのため,搭乗者の車いす走行時の負荷を測定するため,筋電位計測による走行時の負荷評価に取り組んだ.走行時の筋電位計測結果では,初動時の筋力負荷が最も大きくなるが,特にハンドリムに駆動力を直接伝達することになる上腕三頭筋の負荷が顕著となり,搭乗者の体幹を支える脊柱起立筋および腹斜筋については,駆動初動時において上腕三頭筋の1/7程度となることを確認した.これらの結果より,車いす走行時における伸屈運動時の脊柱起立筋での筋活動量には大きな変化が確認されなかった.一方,ハンドリムの駆動運動に直接関係する上腕三頭筋では,駆動回数が増加する状況(走行中)においても脊柱起立筋および腹斜筋と比べ約8倍程度の筋活動量となる. 車いすを自走によって操作する搭乗者においても,勾配が生じる経路,歩道と車道の境界を通過する箇所が多い経路では,筋力負荷が大きくなる状況である.また,筋力低下を伴う高齢者や身体マヒ等の症状が生じている場合には,介助者による走行が必要であることを確認した. 以上の研究を追加実施したことから,当初の計画よりも遅れる結果となった.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は小樽市街における観光のための最適経路導出に取り組む予定である.そのため,深層学習アルゴリズムを適用し,観光経路の舗装状況および歩道と車道との境界における勾配と段差の分析結果に基づき,車いす観光に最適な経路を導出する学習モデルの構築と,構築した学習モデルを利用した最適経路導出に取り組む予定である.
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Causes of Carryover |
当初の研究予定とは異なる実験および解析に取り組む必要が生じたため,予定していた使用額よりも少ない状況となった. 次年度は,コロナウィルスの感染拡大防止状況にもよるが,研究成果発表のための旅費支出が少なくなる可能性もあり,改めて研究計画の見直しの中で使用額についても修正する.
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Research Products
(4 results)