2020 Fiscal Year Research-status Report
可視チェレンコフ放射によるTHz帯コヒーレント放射の完全同期電場検出法の開発
Project/Area Number |
18K11919
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 俊晴 京都大学, 複合原子力科学研究所, 准教授 (00273532)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | テラヘルツ / チェレンコフ放射 / 遷移放射 / EO検出 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、電子ライナックの短バンチ電子ビームから発生するサブテラヘルツ領域の大強度コヒーレント遷移放射の電場を、外部レーザーを使わず、同一バンチから発生する可視域チェレンコフ放射をプローブとして電気光学(EO)検出する技術を開発することである。当初の令和2年度の実施計画では、EO検出に使用する可視プローブ光とTHz-CTRの最適な放射体の組み合わせの検討を行い、EO検出装置の組み立て・製作を実施して、EO検出の実証実験として、EO検出電場と従来のボロメータ検出強度スペクトルの比較、及び光学定数が既知の物質を測定しEO検出の信頼性確認の実験を行う予定であった。しかし、コロナ禍及び電子ライナック施設の改修工事のため長期にわたり加速器が停止していたことにより、十分な加速器ビームタイムが配分されなかったことから、EO検出装置の組み立てのみを実施した。プローブ光である可視域チェレンコフ放射は可動遅延光学系及び偏光子を通過後にITOガラスを透過してEO結晶であるZnTe結晶に入射し、一方のTHz帯コヒーレント遷移放射はITOガラスで反射させることによりZnTe結晶に入射させ、プローブ光と同一光路に乗るように光学系を組んだ。ZnTe結晶を通過したプローブ光は、1/4波長板、ウォラストンプリズムによりp偏光及びs偏光に分離し、それぞれ検出器に入射させるようにした。また、p偏光とs偏光の光強度の差は微小であるため、電子ビームパルスのタイミングに同期させたロックインアンプにより差動検出することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍により令和2年度当初は京大複合研の電子ライナックの運転が行われなかったこと、及び、年度後半は電子ライナック施設の改修工事のため長期にわたり加速器が停止していたことにより、十分な加速器ビームタイムが確保できなかったためである。令和3年度に十分なビームタイムが配分されれば本研究は進展する見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、前年度に実施できなかった誘電体多層膜に代わる電子ビーム照射に強い放射体材料を加速器ビームタイムまでに調査、購入する予定である。その材料を放射体として可視域チェレンコフ放射の分光測定、及びTHz帯遷移放射の分光測定を行い、放射強度、スペクトル分布、偏光度などの取得データを通して、通常の金属箔からのTHz帯遷移放射との違いを調べ、EO検出の放射体材料としての適性を調べる。
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Causes of Carryover |
コロナ禍及び電子ライナック施設改修工事により十分なビームタイムが確保できなかったためである。令和3年度は、誘電体多層膜に代わる電子ビーム照射に強い放射体材料を調査し購入する予定である。
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