2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of chemical state analysis method without contact using muon
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18K11922
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
二宮 和彦 大阪大学, 理学研究科, 助教 (90512905)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 非破壊元素分析 / 化学状態分析 / ミュオン特性X線 / ミュオン原子 / ミュオン原子形成過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
ミュオン特性X線測定による非破壊化学状態分析を行うために、今年度はスイスのポールシェラー研究所で実験を行った。実験は新型コロナウィルスの影響により、スイスに渡航できなかったため、試料のみを郵送してリモート実験として実施した。 金属鉄および主要な酸化鉄試料対してミュオンを照射し、ミュオン特性X線をゲルマニウム半導体検出器で測定した。得られたミュオン特性X線のスペクトルを解析し、それぞれの試料について、ミュオン特性X線の放出強度を詳細に調べ、その放出率を決定した。放出率は試料間で10%程度異なっており、化学形に応じた特徴があることを明らかにした。鉄酸化物の混合物である砂鉄(マグネタイトとマグへマイトの混合物)についてもミュオン特性X線測定実験を行い、同様に放出率を調べた。そして金属鉄および酸化鉄から得られたミュオン特性X線の放出率を組み合わせることで、砂鉄のミュオン特性X線放出率を再現し、鉄がそれぞれの化学形でどの程度存在するのかについて調べた。その結果、砂鉄試料には金属鉄などはほとんど存在せず、マグへマイトがおよそ20%含まれており、残りはマグネタイトであることが分かった。同じ試料について鉄の化学形を調べることができる、メスバウアー法により分析した。ミュオンによる分析結果は、メスバウアーにより分析した含有率とよく一致していることが分かった。 以上の本年度の研究成果により、本研究課題において目的としていた、ミュオンを用いた非接触での化学状態分析が可能であることを実証した。
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