2019 Fiscal Year Research-status Report
Development and application of an epithermal neutron polarizing device
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18K11929
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
奥 隆之 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, セクションリーダー (10301748)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 中性子 / 偏極中性子 / 熱外中性子 / スピン交換光ポンピング法 / SEOP |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、熱外中性子を効率良く偏極して用いるための、熱外中性子の偏極技術開発およびその実用化に関する研究として、熱外中性子を安定に且つ効率良く偏極させることができる唯一の方法と考えられる、オンビーム型スピン交換光ポンピング(Spin-Exchanged Optical Pumping, SEOP)法に基づくHe-3ガスを用いた中性子偏極フィルター(以下、He-3偏極フィルターと称する)の開発を行っている。熱外中性子を効率良く偏極させるためには、多量(約500cc)のHe-3ガスの核スピンを約80%程度以上の高い偏極度まで偏極させる必要がる。 本研究課題の2年目である2019年度は、He-3偏極フィルター用のセル開発として、1年目に構築した超高純度He-3ガスの封入装置を稼動させ、特殊アルミシリケートガラスにHe-3ガスと共にルビジウムRbおよびカリウムKを適当な混合比で封入したハイブリッドセルの製作を行った。そして、製作したセルの性能評価として、SEOP法によりスピン偏極させたセル内のHe-3ガスの偏極度が時間とともに低下していく変化量(緩和時間)を評価した。当初に製作したセルの緩和時間は、緩和時間の理論限界値の4分の1程度と短かったが、セルの製作条件を変えながら製作と評価を繰り返した結果、理論限界値の約90%の緩和時間が得られるようになった。また、こうして得られた緩和時間の長いセルについて、高強度レーザーを用いてSEOP法により偏極させた結果、He-3の核スピン偏極度85%を達成した。これは世界最高レベルのHe-3偏極度である。 上記の開発研究の成功により、当初の計画通り、2019年度の研究開発目標を達成することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画段階から周到に調査を進めて、事前にしっかり計画を立てられたこと、また、研究を推進しながら、学会や研究会で他の研究者と有意義な議論を行い、得られた知見を研究活動に上手く活かせたことで、計画通りに研究を推進することが出来たと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の途中に於いても、発表できる成果については、積極的に学会や研究会等で発表し、他の研究者と議論を行うことで、研究の進め方について、常に客観的な評価を確認しながら、研究活動に当たることを心がけるようにする。
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Causes of Carryover |
研究を進める過程で、消耗品の仕様の変更が発生したため、わずかに残額が発生した。本残額については、2020年度の成果最大化のために消耗品等の仕様の見直しを行い、使用する。
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Research Products
(2 results)