2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K11953
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡田 栄造 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 教授 (10346116)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥林 里子 京都工芸繊維大学, 繊維学系, 教授 (00284737)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | デザイン材料化学 / 塗布和紙 / 紙 / 塗料 / 素材開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
材料化学とデザイン学の密な連携によって材料とその用途を同時に開発する「デザイン材料化学」を扱う本研究の題材として、「塗布可能な紙素材の開発」を初年度の目標に設定し、その開発に成功した。 開発にあたって塗布可能な紙素材が満たすべき条件をデザイン学の見地から以下に置き換えた。「吹き付け和紙よりも効率的に厚く塗布可能」「汎用性が高いPP素材に塗布可能」「範囲を限らず塗り広げることができる」「平面にも曲面にも塗布可能」「凹凸のある面に塗布すると紙繊維が固着する」「離型可能」「紙の表情を持つ」「大掛かりな設備を必要とせず一般家庭で使用可能」 上記設定条件において、奥林教授の指摘によりPPシートへの塗布難易度が高いことが予測されたため、PPシートへの塗布を初期目標に設定したところ、紙繊維に糊材を混合する必要があることが明らかになった。同時に、糊材を添加すると混合時に紙繊維同士が絡まり、繊維の塊が発生してしまうため塗布できないことも判明した。この繊維の塊を解消するために、様々な材料を添加し複数のサンプルを作成、検証した結果、想定していた使用感とは異なるものの塗布以外の多様な用途でも使用が期待できる気泡剤を用いたサンプルが有用であると判断し、配合を調整した。 得られた素材は、クッション性を持ち、塗りつける以外にも型や道具を用いて、ボリュームのある成形にも用いることが可能である。開発の目標設定や開発途中に発生した問題の解決、使用感の調整等において、用途やユーザーを想定しながら材料を開発することで、より効果的な選択ができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目標に設定した「塗布和紙」の開発が完了。現在は素材を用いた具体的用途として建築内装塗料を想定し、内装用途に適した調合に着手。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目/ 国内における開発素材の展示、もしくは想定ユーザーへのヒアリングを行い、複数の想定される用途それぞれに適した調合を開発する。調合した素材は、各調合に対して想定した実際の使用用途もしくはそれに準ずる環境で実用可能かどうかの検証を行う。また素材の特性を活かした独自表現についても検証し、実用の幅を広げる。 3年目/ 完成したそれぞれの紙素材を具体的用途や表現と共に国内外で発表する。また得られた成果を論文にまとめる。
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