2020 Fiscal Year Annual Research Report
Practice of design material chemistry through the development of blush on paper
Project/Area Number |
18K11953
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡田 栄造 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 教授 (10346116)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥林 里子 京都工芸繊維大学, 繊維学系, 教授 (00284737)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | デザイン材料化学 / 塗布和紙 / 紙 / 塗料 / 素材開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,材料科学とデザイン学の密な連携によって材料とその用途を一体的に開発することを目的とし,これまでに「塗布可能な紙素材」の基盤となる処方開発を完了した。 昨年度の成果により,難燃加工の獲得と実空間における意匠性の確認が完了したが,実験後に行なった施工者へのヒアリングから,塗布作業性を考慮する場合,下地材の検討が必要であることも明らかになった。得られた課題は検証が必要な内容であると判断し,今年度の計画に下地材の検討と塗布作業性の検証を行う実験を追加した。 開発材料の施工は,左官作業を想定しており,塗布作業性の実験は,左官技能者の協力の元行なった。実験では,5種類の下地材に対し,左官技能者がこてを用いて開発材料を塗布した。結果,全ての材料に対して塗布することが可能であったが,下地の表面の性状によって下地への付着しやすさや,仕上げやすさに影響があることが明らかになった。 今年度の計画では,展示会等の機会を利用し開発素材を外部に向けて発表し,フィードバックを得る予定であったが,コロナ禍の影響で中止になる展示会が多く,仮に出展しても接触等によるプレゼンテーションが困難であることから,オンラインでの発表に切り替えた。開発素材を端的に説明したムービーとウェブサイトを制作し,限定的ではあるが外部からのフィードバックを得た。開発材料を用いた作品制作も行い,表現の多様性を確認するとともに事例としてプレゼンテーションに加えた。 結果的にユーザビリティと材料の改良を行き来しながら,新しい素材の開発に成功した。一部実験内容を修正したため,投稿中であるが,実験で得られた成果を論文にまとめ,過程で得られた成果を示した。本研究の目的である,材料科学とデザイン学の密な連携による材料の一体的な開発の有用性を示した。
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