2018 Fiscal Year Research-status Report
Study on evaluation method by morphological comparison using realism and geographical information system in premodern landscape painting of Japan
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18K11992
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Research Institution | Aichi University of the Arts |
Principal Investigator |
関口 敦仁 愛知県立芸術大学, 美術学部, 教授 (10336646)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 勲人 東海大学, 観光学部, 准教授 (60367886)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 日本近世風景画 / 写実性の検証 / 谷文晁「公余探勝図巻」 / 河村珉雪「百富士」 / 風景比較表示システム / 地理情報 / 池大雅「陸奥奇勝図」 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では近世風景画の写実性を検証評価する上で、主に江戸後期の作品群を対象にある特徴的な約束事の存在を仮定し、その特定を目指す。現代の地理情報技術によって、その風景モチーフを特定し、描かれた作品と比較し、形態変化を解析して、近世風景画の特徴を定量化し、写実性と絵画性の関係性を特定しようとしている。 研究計画として4つの研究工程を設け、研究を進めている。2018年度はそれらのうち1,絵画史料の調査と分析から開始し、研究対象となる資料調査ならびに資料作品で描かれた対象地の調査を中心に行った。対象となる作品は谷文晁「公余探勝図巻」、河村珉雪「百富士」、池大雅「陸奥奇勝図」などである。現地調査においては、対象作品となる視点場の特定と位置情報の取得を行い、地理上の特定を行い、作品内の景観と比較しながら、時代ごとの歴史的変化の確認をおこなった。また、それらの状況の変化を加味しながら、パノラマ風景の撮影や移動映像による位置変更情報の取得をおこなった。 また並行して、2,「風景視覚表示システム」の開発の一環として、GISのデータをもとに3DCG描画とそのビューワーのプロトタイプを作成し、位置データと視点位置と描写位置との関係性を比較するよう最適化の開発を行った。 これらを継続的に進めながら、今年度後半以降、特定した風景視点場へ赴き、3,「風景比較表示システム」の実証実験と4、近世絵画の写実性の解析を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では研究計画として4つの研究工程を設け、研究の進行管理を図っている。2018年度はそれらのうち2つの研究工程をすすめ、2019年度に継続する計画で進めた。現在のところでは、予定していた調査を順調に進めている。現地調査での天候の問題から、望んだ景観が得られず、画像の記録が進まない事があったりなどはあるが、想定内の出来事として進め、工程1の絵画史料の調査と分析の7割程度を進行できた。また、工程2の「風景視覚表示システム」の開発では、地理データの大きなサイズを効果的に3Dを表示させるのに手間取ったりしたが、モバイル・タブレットの環境でも表示可能な方法を構築できている。そのビューワ-の基礎的な部分として3割程度進行し、計画通りの研究進行を図っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は本研究で進める4つの研究工程を継続の過程ですべて進めていくことになる重要な時期となる。特に今年度後半は現地野外での表示実験などを多く予定し、それまでの準備を完全におこなうことが重要となる。1,絵画史料の調査と分析,2,「風景視覚表示システム」の開発,3,「風景比較表示システム」の実証実験を確実に進めながら、対象作品を順に解析、評価していく必要があり、一つ一つの風景と作品を丁寧に扱っていきたい。その姿勢をもとに工程4の近世絵画の写実性の解析と評価をしっかりとまとめていきたい。
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Causes of Carryover |
該当年度において、代表への配分額580,000円、研究分担者への配分画は520,000円であった。代表者は89%を使用した。分担者が開発し実験する環境として高性能のタブレットPCを購入予定であったが、実験に使うに適切な性能(軽くて、画像処理性能の高いタブレット型PC)の発表が年度末にあり、同機の購入を2019年度にずらしたため、次年度使用が生じた。すでに実験に必要となる機種選定をすませ、使用できなかった資金は使用予定である。
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