2020 Fiscal Year Research-status Report
力学刺激を負荷した培養血管内皮細胞における代謝変動の可視化
Project/Area Number |
18K12037
|
Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
伊藤 一志 秋田県立大学, システム科学技術学部, 准教授 (30507116)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
きゅう 建輝 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (40244511)
常盤野 哲生 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (50312343)
境 英一 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助教 (70581289)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 導電性 / ITOフィルム / 培養血管内皮細胞 / MALDI-TOF-MS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究において実施する質量分析法には、導電性サンプルプレートが必要となる。今年度も前年度に引き続き、導電性酸化インジウムスズ(ITO)フィルムの改良を進めた。結果として、高分子材料を積層したITOフィルム(積層型ITOフィルム)を作製するとともにその作製条件を明らかにした。積層型ITOフィルム表面に培養血管内皮細胞を培養した後、蛍光顕微鏡により観察した結果、積層型ITOフィルム表面に接着した細胞は十分に伸張し、アクチン骨格を発達した様子が観察された。さらに、金属製マスクおよびプラズマ処理を用いた細胞パターニングを適用した結果、細胞の形状を制御することが可能であった。また、サンプルプレートとして使用できる導電性を積層型ITOフィルムは有していた。 積層型ITOフィルムを用いて、スタンダードサンプルを対象としたマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計(MALDI-TOF-MS)を実施した結果、スタンダードサンプルのMSスペクトルを検出できた。一方、ITO表面に積層した高分子材料由来のピークはMSスペクトルにおいて検出されなかった。以上から、作製した積層型ITOフィルムはMALDI-TOF-MSに適用できることが示された。さらに、積層型ITOフィルム表面に培養血管内皮細胞を培養した後、MALDI-TOF-MSを実施した結果、培養血管内皮細胞のMSスペクトルを取得した。取得したMSスペクトルにおけるピークは低分子化合物由来のみに留まっていたため、多様な細胞内分子を対象としたMSスペクトルを検出するためには前処理条件を検討する必要があると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
質量分析装置に不具合が生じたため、実験の進捗に遅れが生じた。質量分析装置が復旧次第、MALDI-TOF-MSを用いた実験に注力する。
|
Strategy for Future Research Activity |
多様な細胞内分子を対象としたMSスペクトルを取得するため、前処理条件およびマトリクスの種類を検討する。その後、培養環境の異なる血管内皮細胞を対象としたMALDI-TOF-MSを実施する。
|
Causes of Carryover |
質量分析装置に不具合が生じたため、研究計画の一部を実施できなかった。次年度において、未実施の内容を遂行するため、実験に必要な試薬、細胞、培養器具の購入費に次年度使用額を用いる。さらに、質量分析装置の使用には研究設備利用料が必要となるため、その費用にも次年度使用額を用いる。
|