2019 Fiscal Year Research-status Report
自公転式撹拌装置を用いた組織培養および流体環境が細胞に及ぼす影響の検証
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18K12041
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
村松 和明 東京電機大学, 理工学部, 教授 (90408641)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 白血球 / 接着分子 / 動的環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究目的は、自転公転式撹拌技術を利用した動的in vitro培養法により、流体環境が血液細胞の特性にどのような影響を及ぼすかを明らかにすることにより、血液生理学の発展に寄与することである。 白血球は骨髄から末梢血に供給された後、炎症部位においてケモカインやサイトカインを受容し、血管内皮を透過し血管外へ遊走する。このとき、血管内皮は白血球と相互作用する膜タンパク質や糖鎖などの接着分子を提示し、白血球の遊走を助けている。一方、白血球も血液循環の過程で細胞の成熟化とともに接着分子の発現量を変化(増加)させ、遊走に備えている可能性が示唆されるが、この観点からの研究は全く行われていない。 昨年度において、静置環境と比較し動的培養されたTHP-1由来の単球は、L-セレクチン等の発現が亢進することを見出したので、本年度も引き続き、様々な接着分子の発現挙動を解析し、その発現機構の解明を試みた。現在も継続中であるが、3件の学会発表を行い、内1件は当該学会にて演者が優秀演題賞を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は複数の細胞株を使って、化学走化性因子・誘導因子の作用により、浮遊細胞である白血球細胞株が接着性細胞へ形質変化する効率、遊走活性、貪食活性を比較評価することであった。 実際にはTHP-1細胞株のみの評価となったが、上記評価項目については繰り返し実験を行うことによって再現性が得たデータ取得に繋がった。データは予想したとおり複数の評価項目において、動的刺激群の細胞の方が静的培養群よりも有意に活性化されることが示された。概ね当初の予定通り計画は進んでいると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2018-2019年度の研究結果において、動的流体環境は少なくとも単球の接着分子の発現を亢進し、細胞接着および遊走を促進する作用が確認されたため、最終年度である2020年度も当初の研究計画に沿って研究を進める予定である。単球で見られた現象が他の白血球にも当てはまるかを明らかにするため、評価対象の細胞種を増やし、流体環境に伴うメカニカルストレスと接着分子の発現挙動およびその分子機構について明らかにする。
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Causes of Carryover |
当初、マイクロアレイ解析の予算を計上していたが、この評価に関しては次年度(2020年度)に行うことに変更したため、その予算を使用せず繰り越すこととなった。 2020年度においては実施する予定である。
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Research Products
(4 results)